特別養護老人ホーム(特養)とは

特別養護老人ホーム(特養)」は、自治体の管理下において社会福祉法人などが運営している公共型の福祉施設で、介護サービスは基本的に施設内で施設のスタッフによって提供されます。24時間体制の介護サービスを「安い費用」で享受できるだけでなく、初期費用が不要であることからも非常に人気の高い施設です。

※「特別養護老人ホーム」は老人福祉法上の呼称です。介護保険上では「介護老人福祉施設」と呼ばれています。

特別養護老人ホーム(特養)の概要

「特別養護老人ホーム(特養)」は、要介護高齢者のための生活施設で、入浴、排泄、食事等の介護その他日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行います。そのなかで定員が29名以下の施設は「地域密着型特別養護老人ホーム」(介護保険上では「地域密着型介護老人福祉施設)」と呼ばれています。

平成27(2015)年4月より、原則、「特別養護老人ホーム(特養)」は「在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設」としての機能に重点化、新規入所者は要介護3以上の高齢者に限定されました(ただし、既入所者は継続して入所可能です)。

「特別養護老人ホーム(特養)」は、原則として、利用者3人に対して1人以上の介護・看護職員が配置などの人員配置基準、原則定員1人、入所者1人当たりの床面積10.65 m²以上などの設備基準もが定められています。また看取り対応が可能な施設も多く、入所者にとって終の住み処になり得ます。

「特別養護老人ホーム(特養)」への入所を希望する場合は、原則として、入所希望者の住所を管轄する市区町村の保健福祉関連部署(要確認)および入所希望の「特別養護老人ホーム(特養)などから「申込書(生活状況等調査書)」を入手、指定期間に「介護保険被保険者証」のコピーと共に提出します。市区町村では、調査書に基づき、要介護度、介護期間、介護者等の状況をポイント化、名簿を作成、ポイントの高いかたから入所者を決定します。

特別養護老人ホーム(特養)の形態 ユニット型と多床型

「特別養護老人ホーム」の居室には、以下4つの種類があります。

①ユニット型個室
②ユニット型準個室
③従来型個室
④多床室


最近は、国の方針もあって、プライバシーを守ることができるユニット型施設が増加の傾向にあります。

①ユニット型個室

10人程度をひとつのユニット(生活単位)として構成。リビングスペース(共有空間)を取り巻いて個室が10室程度並ぶイメージです。入所者は自由にリビングスペースを利用できるほか、キッチンや食堂、浴室などの共有スペースも設置されています。

②ユニット型準個室

ユニット型個室とイメージは同じですが、個室と個室の間は、壁ではなく移動ができない間仕切りで仕切られています。

③従来型個室

ユニット(生活単位)を構成しない個室。単独の個室が並び、食堂や浴室、リビングスペースなどを入所者が共同で利用します。

④多床室

いわゆる相部屋(定員は4人以下)で、食堂や浴室、リビングスペースなどは入所者が共同で利用します。

ユニット型のメリットは、個室であることから、それぞれのプライバシーや生活リズムを守ることができること。またユニットごとに決まった職員が配置されることから、家族的な人間関係をつくりやすいなどがあげられます。しかし、従来型個室や多床室よりも費用は高くなります。
このことから、従来型個室や多床室に比べて、費用の高いユニット型の方が入所しやすい傾向にあるようです。

特別養護老人ホーム(特養)の費用

入居一時金(敷金)

「特別養護老人ホーム(特養/(介護老人福祉施設)」においては、入居一時金(敷金)などは不要です。

「特別養護老人ホーム」の月額利用料

月額利用料は以下で構成されています。

①介護サービス費(1〜3割/利用者によって異なる)
②介護サービス加算(施設、利用サービスによって異なる)
③居住費(家賃/居室タイプによって異なる/利用者負担軽減制度あり)
④食費(利用者負担軽減制度あり)
⑤日常生活費(利用者によって異なる)

①介護サービス費
介護サービスを受けるための費用で、介護保険負担割合証に記載されている利用者負担割合に応じて「介護サービス費」のうち1割から3割までのいずれかが利用者負担となります。
※介護サービス費はサービスごとに細かく単位が設定され、1単位10円を基準に計算されます。地域による諸経費(人件費や家賃など)の差を考慮、全国を1級地~7級地・その他に分類した地域区分によって、0~20%の増減があります。
②介護サービス加算
施設設備や手厚い職員の配置、サービスなどに応じて基本料に加算されます。
室料+光熱費相当。「ユニット型個室」「従来型個室」などの居室タイプによって異なります。
③居住費
室料+光熱費相当。「ユニット型個室」「従来型個室」などの居室タイプによって異なります。
④食費(利用者負担)
食材費+調理費。1日3食分の食費です。
⑤日常生活費(利用者負担)
レクリエーション費や理美容代、日用品代など。
ただし原則として「特別養護老人ホーム」においては、おむつ代は利用者負担にはなりません。

特別養護老人ホーム(特養)における利用者負担と高額介護サービス費」

平成27(2015)年度の介護保険改正により、高額所得者の負担割合が1割から2割に引き上げられました。さらに平成30(2018)年8月からは、1割負担、2割負担、2割負担の人の中でさらに所得が高い人には3割の利用者負担が適用されました。しかし実際には「高額介護サービス費(●)」の支給が適用されるので、自己負担額が月額44,000円を超えることはありません。

■2割負担適用者
「合計所得金額160万円以上」かつ「年金収入+その他の合計所得金額280万円以上(単身者の場合。夫婦世帯の場合は346万円以上)」

■3割負担適用者
「合計所得金額220万円以上」かつ「年金収入+その他の合計所得金額340万円以上(単身者の場合。夫婦世帯の場合は463万円以上)」

なお、利用者負担割合は、介護保険負担割合証に記載されています。

●高額介護サービス費とは?
介護サービスを利用する場合に支払う利用者負担には、月々の上限額が設定されています。1カ月に支払った利用者負担の合計が上限額を超えたときに、超過分が払い戻される制度です。

特別養護老人ホーム(特養)の居住費・食費の利用負担軽減制度

「特別養護老人ホーム(特養)」の月額利用料のうち、居住費(家賃)と食費は利用者負担となりますが、その負担を軽減するために「特定入所者介護サービス費」という補足給付制度があります。

支給対象者は、利用者負担段階が第1段階(生活保護受給者・老齢福祉年金の受給者。本人及び世帯全員が区民税非課税)、第2段階(本人及び世帯全員が区民税非課税。かつ前年の合計所得金額と課税年金収入額及び非課税年金収入額の合計が80万円以下)、第3段階(本人及び世帯全員が区民税非課税。かつ第2段階以外)に該当するかたです。ただし、保有する資産も勘案され、現金・預貯金が、単身で1,000万円、夫婦で2,000万円を超える場合は対象外となります。
「特定入所者介護サービス費」を利用する際は、市町村に申請して負担限度額認定が必要となります。

特別養護老人ホーム(特養)の入所待機を短くするには

ポイント制(優先入所)の利用、特別な事情(特記事項)の申し出をしましょう

「特別養護老人ホーム」入所にあたってポイント制度を導入する自治体が増えています。

例えば、東京・世田谷区は、平成15(2003)年に「世田谷区特別養護老人ホーム入所指針」を定め、要介護度や介護期間、介護者の状況などにより決められたポイントを加算、必要性の高いと判断した人から入所する仕組みを採用しています。

また、介護者の病気など特別な事情や緊急度の高さにより入所の順番を考慮されるケースもあります。「特別養護老人ホーム」の入所を希望する場合は、早めに自治体または希望する「特別養護老人ホーム」に相談・申し込みすることをお勧めします。

居住地でなくてもOK! 希望する場所の範囲を広げて探しましょう

都心にはまだまだ数の少ない「特別養護老人ホーム」も、郊外に目を向けると、定員に余裕のある施設も存在します。何らかの事情や「どうしてもこの地域がいい」という強い希望がある場合以外は、範囲を広げて探すことで「特別養護老人ホーム」に入所できる可能性は高くなります。ただし、市町村指定の事業者が地域住民に提供する「地域密着型サービス型」の施設には申し込むことができません。

複数の施設に申し込こんでOK!

「特別養護老人ホーム」は、複数の施設への申し込みが可能です。そうすることで入所できる確率も上がります。また、公表されている「特別養護老人ホーム」の待機者数には、ひとりが複数の施設に申し込んだ場合もカウントした延べ人数なので、待機者が多く見えても申し込んでおく価値はありそうです。

まとめ

介護保険サービスとして利用できる「特別養護老人ホーム」は、費用の安さが大きな魅力です。ユニット型施設が増えたことで、一昔前の暗いイメージも払拭され、入所希望者も増えているようです。

とはいえ、特に都心部は激戦区。例えば要介護3になって、ひとり暮らしや家庭での介護が難しくなってから動き出したのでは遅すぎます。近い将来、「特別養護老人ホーム」に入りたい、または入れたいという希望があるのであれば、「まだ要介護1だから」などと言わずに、情報を収集したり、見学に出かけたりしておくことをお勧めします。(介護カレンダー編集部)

更新:2020年8月13日