認知症が進み一人暮らしが難しくなり、施設への入居を決めたものの、実際に入居できるまで半年かかったという、兵庫県にお住いのM.Y.さんの体験談です。
希望する施設への入居が決まるまで半年。その間はヘルパーの力を借りながら、自宅で家族が介護
【プロフィール】
<入居者>夫の母
<施設種類>特別養護老人ホーム(特養)
<入居年齢>80代
<介護度>要介護3
<入居期間>2018年から現在
<居住地域>兵庫県
<話を聞いたかた>長男の嫁
入居者との関係
夫の母です。自宅で一人暮らしをするのが困難になってきたため、子どもたちが相談して入居を決めました。
医療的ケア・疾患、症状など
60代前半からパーキンソンの症状が出始めていました。80歳を過ぎてからは認知症の診断も受けました。
入居を決めた時期と理由
義父が亡くなってから10年以上一人暮らしをしていた義母が、電話での応対や行動がおかしくなってきたため、医者の診察を受けたところ認知症と診断されました。台所がガスコンロで危なかったり、薬を飲み忘れたり、ひとりで生活していくのは無理だと判断しました。本人が施設に入るのを嫌がりましたが、近くに介護ができるような親族もいなかったので、ヘルパーさんに訪問介護をお願いして様子を見ながら、施設に入る方向での介護を始めました。
施設の探し方
ヘルパーさんやケアマネ、主治医などにも助言をしてもらいながら、できるだけ親族が頻繁に会いに行けるエリア、立地を重視して施設を絞り込んでいきました。幸い義母は体は丈夫で医療的なケアはそれほど必要なかったため、特殊な設備のある施設に限定することなく幅広い選択肢から施設を選ぶことができました。既に親や知り合いが施設に入っている友人などの意見も参考にしました。
入居の手続き、ステップ
希望する施設は全て満室だったので、いくつか絞り込んだ施設の順番待ちのリストに加えてもらいました。空き部屋が出次第入居ということだったので、入居まで約半年は、ヘルパーさんや親族が交代で自宅介護をしていました。施設から入居可能の連絡があってから入居まではあまり時間がなく、あわてて荷物をまとめるなど、いろいろな作業をしなくてはなりませんでした。
入居して良かったこと
訪問介護の場合、ヘルパーさんが来られるのは1日数時間ですし、私たち親族も仕事や自分の家庭があるので、義母の介護はとても大変でした。徘徊して警察のお世話になるようなこともあって、またいつ何か問題を起こすのではないかと常に気が気ではありませんでした。もう限界だと思っていたとき、「入居できる」というお知らせが来てホッとしました。それ以降は、親族もみんな安心して過ごせるようになって本当に良かったです。
入居して大変だったこと
最低でも一週間に一度は、親族の誰かが施設を訪れて、母の顔を見て過ごすように決めています。しかしみんなあまり行きたがらないので、結局私が毎週行くことになり、施設のスタッフとのやりとりなどの事務的な対応も全て私がやることになってしまいました。入居自体はそれほど大変ではありませんが、役割分担ができていないことで、親族間でゴタゴタが起きるなど、介護には関係のない部分が大変になります。入居前に、関係する一人ひとりの役割について話し合い、それぞれが自覚をもつことが必要だと思います。
入居を検討しているかたへのアドバイス
別居している家族が同居したり、毎日通ったりして介護をするのは精神的にも肉体的もかなり大変なので、介護施設の入居をお勧めします。もし本人が入居を嫌がるのであれば、一緒に見学に出かけるなど、納得してもらえるまで辛抱強く粘ることも大切だと思います。また、入居するまでの待ち時間も考えて早めに順番待ちリストに加えてもらうこと。入居が決まったときのために身の回りの整理をして必要なものを準備しておくことも大切だと思います。