プライバシーが守られるマンションタイプの居室は、スタッフの目が届きづらいという危険が伴うかもしれない【介護施設探しの体験談】

プライバシーが守られるマンションタイプの居室は、スタッフの目が届きづらいという危険が伴うかもしれない【介護施設探しの体験談】

子どものいない叔母さんご夫婦が入居したのはマンションタイプの居室の介護付き有料老人ホーム。自由な空間は魅力ですが、万が一のときは危険が伴うと話す神奈川県在住のS.Y.さんの体験談です。

プライバシーが守られるマンションタイプの居室は、スタッフの目が届きづらいという危険が伴うかもしれない

【プロフィール】
<入居者>叔母(母の妹)
<施設種類>介護付き有料老人ホーム
<入居年齢>70代
<介護度>自立
<入居期間>2002年4 月から2012年8月
<居住地域>神奈川県
<話を聞いたかた>姪

入居者との関係

母の妹、叔母です。子どもがいなかったので、夫婦で相談して入居したようです。

医療的ケア・疾患、症状など

叔母は糖尿病でしたので、施設ではインシュリン投与と病態食の対応をしてもらっていました。糖尿病の合併症から肺炎を併発して呼吸困難となり、亡くなりました。

入居を決めた時期と理由

叔母夫婦には子どもがいなかったことが一番の理由だったと思います。叔父は、車を運転したり買い物したりとかなり元気だったのですが、叔母の手が少し不自由になり、調理や家事が思うようにできなくなったことが直接のきっかけのようです。ある程度プライバシーが守られるマンションタイプだったこと。かつ万が一の場合は、看護師さんにお世話をお願いできること。食事も何日か前に申し込めることなどが良いと話していました。また、お墓参りに出かけやすいこともポイントだったようです。

施設の探し方

叔母夫婦が施設に入ることを決めた当時は、今ほどインターネットも普及していませんでした。しかし、叔父がマメな人でしたから、あちこちに電話をかけて資料を取り寄せたり、図書館で調べたりするなどしながら検討していました。ちょっと気に入った場所があると、車で出かけては施設の内部を丹念に見て、担当者や看護師さんに話を聞いたり、周辺の商業施設や公園などを見て回ったりしたようです。介護付き有料老人ホームでありながら、居室がマンションタイプだったため、周りを気にせずある程度自由に暮らせる点も気に入ったそうです。

入居の手続き、ステップ

まずは施設を見学入居体験をしたところ、とても気に入ったため、すぐに入居を申し込みました。入居にあたっては、それまで住んでいた家を処分、地方にあるお墓を近くに移したうえで、契約書を交わし、契約金を振り込みました。施設に持っていく家具や電化製品、洋服、食器の選別をし、不要なものは業者に処分してもらいました。

入居して良かったこと

2Kの狭い間取りでしたが、ドアを閉めればプライベートな空間になりました。お風呂は部屋だけでなく、隣に大きな温泉施設もありました。人の出入りなども管理体制がしっかりとしていたため、安心して暮らしていたようです。最初のうちは、3食を食堂で食べていましたが、そのうちに夕食以外は、叔父が買い出しに行って好きなものを自由に食べるようになりました。入居から5年後には叔母は寝たきりになってしまいましたが、看護師さんが夜も見回りに来てくれたり、下の世話もしてくれたりしていました。

入居して大変だったこと

住んでいた家を処分したので、入居時にはマンション1軒が買えるほどのお金が捻出できたはずですが、普通のマンションであれば、管理費と修繕積立金を合わせても3万円くらいのところ、実際には毎月20万円以上の支払いがありました。それ以外にも、注文した分の食事代、医療費なども発生していました。思っていた以上に費用がかかることを間近で見て、もし私が施設に入ったときに、年金だけで足りるのか、少し心配になりました。

入居を検討しているかたへのアドバイス

叔父は、自由に車を運転したり、好きな食べ物を買いに行ったり、毎晩、晩酌をしたりしていました。しかし、ある晩、喉に食べ物を詰まらせて窒息死してしまったのです。その後、叔母は、寝たきりになって食事が取れず、点滴をしているような状態でしたが、居室には一人。結局肺炎になり、病院に入院して叔父の後を追うように亡くなりました。今でも、マンションタイプの居室でなかったら、叔父も叔母ももう少し早く発見されて、もう少し長く生きられたのではないでしょうか。もし必要に迫られて老人ホームに入居されるのであれば、マンションタイプではない方がいいのかもしれないと思います。

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