
数年前、北陸地方に単身赴任していたときのことです。当時私は50歳を過ぎており、もともと高血圧の持病があったため、健康には気を付けていたつもりでした。ただ、寒冷地での生活は初めてで、冬の厳しい寒さや大量の降雪には正直とても戸惑っていました。
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少しの違和感…起きたら夕方に
赴任生活も5年目の冬。いつものように早朝、仕事へ向かおうとアパートの駐車場で車に積もった雪をスコップで除けていました。そのとき、不意に右の手足がじんわりとしびれるような感覚がありました。前の晩に接待でお酒を飲んでいたこともあり、疲れが出たのだろうと軽く考え、そのまま部屋に戻ってベッドに横になりました。
ところがそのまま眠ってしまい、会社への連絡を入れるのをすっかり忘れてしまったのです。次に意識が戻ったのは、玄関のチャイムの音でした。目を覚ますとすでに夕方になっていました。慌てて起きようとしましたが、右手足に力が入らず、思うように動けませんでした。なんとか体を引きずって玄関までたどり着き、ドアを開けると、そこには職場の後輩が立っていました。
異変に気付き、救急車を手配
私からの連絡がまったくなかったことを心配して、わざわざ様子を見に来てくれたとのこと。ようやく、自分の体に起きた異変の大きさに気付き、後輩の勧めで救急車を呼ぶことにしました。
病院には後輩が付き添ってくれ、救急外来で脳のCT検査を受けた結果、「ラクナ脳梗塞(脳の深部にある非常に細い血管が詰まることで発生する、小さな範囲の脳梗塞)」と診断されました。すぐに血栓を溶かすための点滴治療が始まり、医師からは入院を勧められて、そのまま2週間の入院生活となりました。幸い、早期に発見できたこともあり、大きな後遺症も残らず職場復帰することができました。
職場の人のおかげで命拾い
もともと健康にはある程度自信があったものの、この出来事をきっかけに、中年以降はほんの少しの油断が命取りになることを痛感しました。特に単身赴任という環境では、生活リズムが乱れがちで、健康への意識もつい緩んでしまいがちです。
この経験で何より大きかったのは、職場の仲間と日ごろから良好な関係を築けていたことでした。あのとき後輩が私の異変に気付き、わざわざ訪ねてくれなければ、今こうして日常を取り戻せていたかどうかわかりません。
まとめ
家族と離れて暮らすからこそ、身近な人とのさりげないつながりが、時に命を救うこともある。そんなことを、身をもって実感した出来事でした。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/菊池大和先生(医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長)
地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
著者:裏山周人/70代男性・アルバイト
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)
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