
私は定年退職後も、嘱託社員として長年勤務した工場でメンテナンス業務を続けてきました。ベテランとしての経験を大切にしてきましたが、近ごろ若手のA課長(30代)が赴任して以来、現場の空気に変化が生まれていました。
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経験よりマニュアルを重視する若手課長
A課長は効率化やマニュアル厳守を何より重んじるタイプで、「長年の勘なんて非科学的です。マニュアル通りに作業できないなら問題です」と強い口調で言い放つこともありました。
私たち年配の社員は戸惑いを覚えつつも、現場がぎくしゃくしていくのを感じていました。
緊急停止した製造ラインと迫るタイムリミット
ある日の午後、メインラインが異常音とともに突然停止しました。A課長は慌ててマニュアルを開き、「手順書通りに点検してください!」と声を上げましたが、センサー類には異常値が出ておらず原因がつかめません。
メーカーの担当者が到着するまでには3時間以上。このままでは当日の出荷分に間に合わない可能性が高く、現場には緊張が走りました。
長年の経験が導いた判断と、静かな和解
機械の音を聞いた瞬間、私は思い当たる箇所がありました。A課長が制止する中、「責任は取ります」とだけ告げ、機械のカバーを開けました。
長年の経験から、特定のギアの摩耗によるわずかなズレだと判断し、工具で慎重に調整をおこないました。作業は5分ほどで終わり、「再起動してください」と伝えると、機械は見事に滑らかに動き出しました。工員たちの安堵した声が上がる中、A課長はその様子を黙って見つめ、言葉を失っていました。
後日、彼がそっと缶コーヒーを差し出しながら、「先日はすみませんでした」と頭を下げに来てくれたとき、張り詰めていた気持ちがようやくほどけました。
まとめ
この出来事を通じて学んだのは、マニュアル化やデジタル化が進んだ現代でも、現場で積み重ねてきた経験や五感はたしかに力を持っているということです。新しいやり方を否定するつもりはありませんが、非常時に役に立つのは、やはり長年培ってきた感覚と知識。そして、言葉で反論するよりも、確かな技術と結果で示すことこそが、年長者としての誠実な向き合い方なのだと実感しました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:矢口塔子/60代女性・会社員
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)
※一部、AI生成画像を使用しています。
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