認知症から他人への暴言が繰り返されるようになったY.S.さんの要介護3のおばあさま。通っていたデイサービスの利用を断られたことをきっかけに、ご家族で入居できる施設を探しました。見学や体験などおばあさまに負荷がかからないよう、できる限りの準備を進めたそうです。
良好な家族関係の維持、本人が快適に過ごすために、介護施設への入居はおすすめ
【プロフィール】
<入居者>祖母
<施設種類>グループホーム
<入居年齢>80代以上
<介護度>要介護3
<入居期間>2007年4月〜 2009年11月
<居住地域>佐賀県
<話を聞いたかた>孫
入居者との関係
実家で一緒に暮らしていた祖母です。私が生まれてから祖母がグループホームに入るまでの数十年間、ずっと一緒に暮らしていました。
医療的ケア・疾患、症状など
初期の頃は、認知症特有の徘徊や物忘れなどがありました。また、症状が進行していくと他人に汚い言葉を吐くなどの言動が見られました。
入居を決めた時期と理由
祖母が認知症と診断されてからの数年間は母が自宅で介護をしていました。週に2回のデイサービスを利用し、祖母も嫌がることなく通っていましたが、その間にも認知症は進行していきました。
あるとき、デイサービスに通っていた祖母がトラブルを起こしました。認知症の祖母が、デイサービスを利用する人たちに暴言を吐いたのです。施設の関係者によると暴言はその1度や2度ではなく、どんどんひどくなっていったようです。
事情を知った母が、謝罪したもののその後のデイサービスの利用を断られてしまいました。これをきっかけに、認知症の進行した祖母を自宅で介護するのは、そろそろ限界かもしれないと判断した母が、父と相談し自宅からそう遠くないグループホームに祖母を預けることに決めたのです。
施設の探し方
母がまずデイサービスを断られた経緯をケアマネージャーに説明し、認知症でも受け入れてもらえる介護施設があるのかどうか相談しました。
すると、運良く自宅からそう遠くない場所に認知症でも受け入れてもらえる介護施設が何箇所かあると紹介してもらえました。
そして母が実際にいくつかの介護施設を見学し、施設の様子や入居者の状況を詳しく見て回りました。それから祖母を伴い再び見学に行き、その反応を確かめながら探していったのです。
入居の手続き、ステップ
祖母がグループホームに入居するまでには、いくつか段階を踏みました。いきなりの入居では、祖母が拒否反応を示すかもしれないので、入居するグループホームの環境に慣れるように、何度か通い、介護士や入居者の方たちと事前に交流をもたせるようにしていたのです。
その後、数回グループホームに宿泊させ、祖母がそこでの暮らしに慣れるように気を配りました。その間に、母が入居に必要な家具や寝具をそろえるなどの準備をし、入居に至りました。
入居して良かったこと
祖母がグループホームに入居して良かった点は、それまで介護していた母の負担が減ったことです。介護のストレスから、母も疲れた様子を見せ、暴力こそなかったのですが、認知症の祖母にきつくあたることもありました。
それがなくなったことは、母だけでなく、祖母自身のためにも良かったと思います。
また、祖母はデイサービスを断られた経験があったので、最初は不安だったのですが、グループホームには祖母と同じ認知症の方が何人かいて、施設の方の対応も慣れたものでした。その点は、本当に良かったです。
入居して大変だったこと
祖母をグループホームに入居させて大変だった点は、経済的な面です。祖母がグループホームに入居し、介護する家族の肉体的精神的負担はなくなったものの、金銭的な負担は一気に増えました。
入居費用は、決して安いものではありません。祖母の受け取る年金だけでまかないきれる額ではなく、当然ながら不足した金額は家族が負担しなければなりません。母は祖母の介護のため、一度はやめた仕事を、家計が苦しくならないようにと再開させました。
入居を検討しているかたへのアドバイス
介護施設への入居は、介護する家族の負担を減らすだけでなく、入居する本人のためにもなります。介護のストレスから、家族同士の仲が悪くなってはどうにもなりません。良好な家族関係を維持するためにも、本人が快適に過ごすためにも、介護施設への入居はおすすめです。
ただ、施設への入居は金銭的な負担が伴うため、事前に家族とよく相談しておくことが大切です。経済的な面をクリアしてから入居先を探した方がいいでしょう。
※入居時点の情報であり、あくまでも個人の感想です。
★グループホームについて詳しく知りたいかたは、こちらをご覧ください。