20年以上勤めていたパート先が閉店することをきっかけに仕事を辞め、父の介護に専念することになった私。90代の父は年齢の割にかなり元気ですが、けがをしてから一気に体力が落ちて要介護状態です。父の介護があるので長時間外出することは難しく、パートも辞めてしまった私はストレスがたまっていました。そんなとき、ふとしたきっかけで新たな趣味を発見! 介護疲れの暗い気持ちを救った趣味とは……。
パートを辞め父の介護をすることに
パート先のお店が閉店することをきっかけに、私は仕事を辞めることにしました。年齢的に新たなパート先を探すのも大変だし、隣に住む父の具合が良くないこともあって介護に専念することに。
パートは週3~4日で、20年以上続けていました。こんなに長く働けたのも、誰かの役に立っていたり、社会に貢献できていたりすることにやりがいを感じていたから。パート先の人たちは私と年齢が近いこともあり、世間話をしながら楽しく働けていたことも、パートを長く続けられた要因だと思います。
もちろん、忙しい日は疲れて家事に影響が出ることもありましたが、パート先で家族以外の人と関わりを持つことで、気分転換やストレス発散にもなっていました。20年間も楽しく働けて、わずかながら自分のお小遣いも稼げていたため、辞めることを少しだけちゅうちょしたことは事実です。
そんな生活も、父の介護に専念することで家事中心の生活に一変しました。これも自分の人生が良い方向に進む転機だろうとポジティブに捉え、心機一転、新しい生活を楽しむことを決意。こうして、介護と家事の日々がスタートしました。
介護と外出できないことにストレスが
ポジティブな気持ちで介護と家事の生活をスタートしましたが、父の介護は想像以上に大変でした。
90代の父は胃がとても元気で、肉や甘い物が大好物。ですが、硬いお肉や野菜はNG、具材を大きく切って調理すると「食べられない」と一切口にしてくれませんでした。しまいには、「こんな食べにくい料理を作って何を考えているんだ!」と怒ることも。父の健康を思って栄養バランスの良い献立を考えても、気に入った料理以外は残されると悲しい気持ちになります。
また、父は耳が遠いため普通の声量では聞こえません。自分では大きな声で話しているつもりでも「は?」「何?」と、眉間にシワを寄せて聞き返してきます。近所迷惑になるくらいの声量で話してやっと聞こえるほど耳が遠いので、喉が痛くなることも多々ありました。
このように、父に気をつかった食事作り、大きな声でしゃべらないと伝わらないなど、一筋縄ではいかないことが増えてストレスがたまっていきました。
これまでは、夫と週末に日帰り温泉に行ったり、旅行へ出かけたりすることが趣味でしたが、今は父の介護があるため長時間の外出は不可能。出かけられても近場に買い物をしに行く程度です。朝・昼・晩と父の食事を作って食べさせないといけないため、外食もできません。
家事のほかに父の介護と、家族や家のことを考えなくて済む時間がまったくなくなってしまい、どんどん気持ちが暗くなっていきました……。
ストレス発散法を発見!
父との憂うつな夕食時間を終え、いつも通りテレビをつけると、その日はフィギュアスケートの大会が放映されていました。そのときの大会に出場していたのが羽生結弦選手。
私は、昔からクラシックバレエやフィギュアスケートなどの踊り鑑賞が好きでした。テレビで放映されていると必ず見るほど。踊っている人自身を気に留めたことは今までなかったのですが、このときの羽生結弦選手のスケーティングがあまりにもすてきで……。曲の世界観に入り込んだ表情、しなやかな動き、力強いジャンプなどのすべてに見とれてしまい、この日をきっかけに羽生結弦選手のとりこに。YouTubeで羽生結弦選手の映像を見漁ったり、イメージキャラクターになっている商品を率先して購入したりと、すっかりファンになりました。
どこへも出かけられなかった私は、家事や介護の合間にも「今日の夕飯どうしようかな」「1時間後に父をお風呂に入れないと」など、常にやることに追われて気分転換が皆無。しかし、羽生結弦選手に出会ってからは隙間時間にスマホで動画や写真を見ることが楽しみになりました。何も気晴らしになることがなく暗い日々が続いていましたが、羽生結弦選手のスケーティングを見る時間が楽しく、気持ちも明るくなれたのです。
まとめ
パートを辞めて新たな生活を楽しもうと始めた父の介護ですが、フタを開けてみると想像以上に大変でストレスがたまる一方でした。今は、羽生結弦選手の動画を見ることが唯一の楽しみになっています。羽生結弦選手の情報を集めたい一心でSNSも始め、ファン同士の交流も楽しむように。
新しい趣味を見つけたおかげでストレスを発散でき、父の介護も明るい気持ちで取り組められるようになり、暗い日々から脱却できました。大変な介護生活の中でもポジティブな感情になれ、趣味を見つける大切さを実感しています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
文/よしだ れい(43歳)
介護カレンダー/ウーマンカレンダー編集室