私たち家族は、夫の実家の敷地内に別宅を建てて暮らしています。そんな中、義母が病気を患い、要介護状態となりました。しかし家族のサポートと義母自身の頑張りで義母の状態は改善。私と夫が関わらなくても問題なく生活できるくらいまでに回復したのでした。ところがホッとしたのもつかの間、今度は1人暮らしだった義弟が突然倒れ、障害が残ったことで就労困難となり、実家に戻って来ることに……。
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安心していたところに不安要素が…
私たち夫婦は結婚当初は別の場所で生活をしていたのですが、1人目の妊娠、出産をきっかけに夫の地元に戻ることになりました。そして、夫の実家の敷地内に別宅を建て、敷地内同居というかたちで生活をしています。私自身、必ずしも嫁が義理の両親の面倒を見るのが当たり前だとは思っていませんが、敷地内同居を決めた際は、やはりそれなりの責任と覚悟を持ちました。
敷地内同居を始めて数年後のある日、義母が脳出血(脳内にある細い動脈が何らかの原因で破れることで脳内出血する病気)で倒れてしまいました。数カ月間の入院を余儀なくされ、自宅へ戻って来たときには重度の後遺症もあり、要介護状態に。しかし、幸か不幸か、年齢的にまだ若かったことや、義母がリハビリを熱心に頑張ったかいもあって、義母は徐々に回復していきました。そして今では身の回りのことや簡単な家事もこなせるようになり、介護認定も要支援まで低くなりました。義母が倒れた直後は、私も「ついにこのときが来たか……」と気が重くなりましたが、ここまで回復してくれたことで心の重荷が少し減り、リハビリを頑張った義母だけでなくサポートを頑張った義父にも感謝しました。
そして、またしばらく平穏な生活を送っていたのですが、義母の病気から3年後のある日、独立して別の場所で1人暮らしをしていた義弟が倒れたという知らせが届いたのです。
就労困難な義弟が敷地内で同居することに
義弟は3カ月間の入院の後に退院しました。退院後、義弟は病気によって障害が残り、日常生活もままならない状態となっていました。もちろん、仕事も辞めざるを得なくなりました。そして、家族会議の結果、ひとり身だった義弟は実家に戻って来ることになったのです。
実家に戻って来た義弟は、慣れた自室周辺であれば移動が可能で身の回りのこともできますが、家事全般は困難でした。外出もまったくできません。家事は家族がサポートをし、外にもなんとか連れ出そうと試みましたが、なかなか本人の気持ちが付いていかずに次第に引きこもるようになっていきました。時にはケアマネジャーも交えて、どうにか生活範囲が広がるように福祉サービスの利用など働きかけをしたのですが、状況はなかなか変わりませんでした。
私も夫や義理の両親と何度も相談し、どうしたら良いかを考えました。義弟は私と同い年です。近い将来、義理の両親に関してはなんとか責任を持って関わる覚悟はありますが、義弟まで面倒を見ることとなると正直難しいです。今後のことを考えるとやはり義弟には就労ということを考えてもらわなければと思いました。その思いだけで今後の生活や就労につながる関わりを持てるよう相談を重ねましたが、なかなか明確な方針が打ち出せずにいました。そんなモヤモヤとした生活が2年ほど続きました。
少しずつ動きだしたこれからのこと
ほぼ引きこもりの状態が2年ほど続いたある日、突然義弟から夫に連絡が入りました。「ちょっとだけ今の生活を変えたいから手を貸してほしい」とのことでした。やはり、現状から抜け出したい気持ちはあったようで、気持ちの変化をもたらす何かがあったのかもしれません。夫はすぐにケアマネジャーに連絡をし、義弟も交えて今後のことについて相談をしました。そして、将来の就労につなげていくため、まずは障害者の就労支援施設に通うことを提案され、義弟も渋々ではありましたが承諾したのでした。
就労支援施設には毎日送迎のバスに乗り、週5日間通います。それ以外にも介護タクシーを利用して、簡単な用事も自ら済ませるようになっていきました。施設には毎日ほぼ休むことなく通い、少しずつ前に進み始めた義弟を見て、義理の両親も私たち夫婦も本当に安心しました。
そして現在、義弟が就労支援施設に通い始めて3年が経とうとしています。今の生活にもすっかり慣れ、少しずつ本人の自信にもつながってきているようです。しかし、これから先の就労については消極的でなかなか踏み出せずにいるのが現状で、やはり今後の生活を考えるとまだまだ不安は残ります。今も、義理の両親がいなくなったあとの生活について、時折家族で話し合いをしてはいますが、なかなか解決の糸口が見えないのが実情です。
まとめ
家族の介護問題というものは、どこの家庭でも多かれ少なかれ抱えているものだと思います。私の場合、義理の両親に加えて、義弟のことも考えなければならなくなり、一時は本当に落ち込みました。しかし、私にとっての救いは義理の両親も夫も協力してみんなでなんとかしようと考えてくれることです。現時点ではまだこれからの生活に対する大きな不安が残っていますが、義弟含めなんとか家族全員で答えを見つけていきたいと思います。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:三曾田ねぎ子/40代女性。会社員の夫、やんちゃ坊主の長男、口だけ達者な長女と4人家族。夜寝る前の1人晩酌が心安らぐ唯一の時間。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年10月)
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