「また鳴ってる…」安心のはずの見守りアラートが!?鳴りやまぬ通知に疲弊した嫁の結末【体験談】

「また鳴ってる…」安心のはずの見守りアラートが!?鳴りやまぬ通知に疲弊した嫁の結末【体験談】
「また鳴ってる…」安心のはずの見守りアラートが!?鳴りやまぬ通知に疲弊した嫁の結末【体験談】

高齢化が進んでいる日本社会。その中で挙げられる問題の1つに、孤独死があると思います。離れて暮らす高齢の親を心配する家族の話がテレビで取り上げられているのを私もよく目にしていました。今回は、そんな境遇にある私の友人が対策として見守り機能を使ってみたところ、思わぬ落とし穴があったという話を紹介します。

★関連記事:「苦労かけてごめん…」理不尽な父を許せなかった私。10年後の最期に後悔したワケ【体験談】

義母の要介護生活の始まり 

その友人は、結婚を機に県外へ引っ越しました。そして、妊娠を機に、義両親と敷地内同居を始めました。当時すでにリタイアしていた義両親は、会社員として共働きしていた友人夫婦とは生活時間帯がずれていたこともあり、お互い干渉することもなく、平和に暮らしていたそうです。

ところがある日、義母が倒れ、そこから要介護の生活が始まりました。高齢だった義父は、それを機に家事・炊事など日常生活をほぼすべて担うことに。俗に言う老々介護が始まったのです。けれど、介護生活の始まりにはいろいろな手続きがあります。当時義父はまだシャンとしていましたが、それでも、こまごまとした手続きは、どうしても友人夫婦が行うことになったそうです。

さらに、それまでは日常生活のほぼすべてを義母がおこなっていたこともあり、義父は洗濯機の使い方やゴミの分別すらまったく知らなかったのだとか。そのため、最初はいろいろな日常生活の説明に手間取ったと言います。それでも、義父が日常生活にまつわるさまざまな仕事を覚えると、再び生活が回り始め、半年ほどたったころには、再び穏やかに日々が過ごせるようになったそうです。

便利なはずの見守り機能だったけれど…   

ところが、数年後に義父が他界し、介護の必要な義母がひとり残されることに。しかし、義母は断固として自分の住んでいた家を離れることも同居も拒否。話し合った末、昼間はヘルパーさんに入ってもらうことになりました。しかし、まひが残ってひとりでは満足に動けない義母が誰もいないときに困ったら、どうすれば良いのか。考えた末、友人夫婦は「見守りアラート」と呼ばれる機器を導入しました。これは、何かがあったときに、スイッチを押すだけで相手に連絡が行くというもの。簡単な操作なので、軽い認知症とまひのある義母でも使えるだろうと考え、選んだものでした。

最初のうちは、使って良いかどうか迷い、あまり使用しなかった義母。それこそ「お風呂のお湯がなぜか温まらない」「薬が奥に落ちてしまった」など、本当に困ったときにだけ連絡がありました。しかし……時がたつにつれ、義母のアラートを鳴らす頻度がどんどん増えていったと友人は言います。それも、緊急の用件であればまだ理解できますが「明日は何曜日か」「〇〇があと1袋になったから買ってきてほしい」「テレビでやっていた〇〇が食べたい」といった緊急性があるとは思えないような内容まで、昼夜問わず鳴らされるようになってしまったのだそうです。

介護に疲れ果てた友人夫婦

何時だろうと鳴らされるようになってしまったアラート。最初は見守りのつもりだったのに、昼夜を問わず鳴らされるそのアラートに、友人夫婦は辟易(へきえき)してしまいました。安心のための道具が、まさかこんなことになるなんて……。しかも、「一度アラートを鳴らしても来てくれないから」という理由で、さらに何度も何度も繰り返されるように。その上、急いで駆け付けた友人夫婦に「なんですぐ来ないの」「遅すぎる」と怒鳴り散らすようになったといいます。

友人夫婦は疲れ果て、友人はついにノイローゼ状態になってしまいました。友人が「ひとりが不安な気持ちはわかるから」と親切心で取り入れた見守り機能で、こんなことになるなんて……と涙ながらに話した姿が忘れられません。

結局、義母はグループホーム(認知症の人が共同生活を送るための施設)に入居することになりました。断固拒否していた施設での生活でしたが、始めてみると、いつでも人がいることにとても安心感を覚えたようで、それからしばらくして義母は正式に入居することになりました。たまに会いに行って話をしたり、手紙のやりとりをしたりする日々になり、友人もやっと落ち着いて生活を送れるようになったようです。結果として、義母と友人夫婦の双方が落ち着くこととなりました。

まとめ

今回の友人の話を聞いて、私は、介護をおこなう中ではいろいろな選択を迫られることになるけれど、介護する側とされる側のどちらかの我慢で成り立つ生活は、どうしても歪みが出てしまうものだなと改めて実感しました。本人の意思は尊重したいけれど、自分たちが壊れてしまっては元も子もありません。便利な物もたくさんありますが、それを使えば解決するかというとそうとは限らないんだなということを学びました。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

著者:大沢真紀/40代女性・主婦
イラスト/sawawa

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています

★関連記事:「ストレスです」一緒に働く人にハッキリと言われ、気付いてしまったことは #頑張り過ぎない介護 253

★関連記事:義母「検査も手術もやらない」紹介状をもらった病院に予約電話をした結果が #頑張り過ぎない介護 252

★介護の話をまとめて読む

マンガ・体験談の最新記事