厚生労働省は来年4月の介護報酬改定で、入所者の転倒や転落、誤嚥、誤薬といった介護事故のリスクマネジメントの強化に向けて、特養や老健など介護保険施設の運営基準を見直す方針を決めた。
中心となって安全対策にあたる担当職員を選定しておくこと、発生時に備えて組織的に対応できる体制を整備しておくことなどを、新たに事業者の義務として位置付ける。6ヵ月間の経過期間を挟んで全ての介護保険施設に適用する考えだ。
社会保障審議会・介護給付費分科会が年内にまとめる報告書へ盛り込む。今月2日に開催した会合では、委員から大筋で了承を得た。施設の新たな運営基準は年度内に通知などで示す。
特養を対象とした国の調査結果(2018年度)によると、専任の安全対策の担当職員を置いている施設は54.1%。全体の半数強にとどまると報告されている。
厚労省は審議会で、「必ずしも担当職員は決められていない。安全対策をより恒常的なものとする」などと説明。老健や介護医療院なども含め、運営基準の見直しに踏み切る意向を明らかにした。
このほか、運営基準で定められた介護事故の発生予防、再発防止の措置が十分にとられていない施設について、基本報酬の減算を検討する構えもみせている。あわせて、外部の研修を受けた安全対策の担当者を置くなど体制の強化に努めている事業所を、何らかの形で評価する案も俎上に載せている。
情報提供元:介護のニュースサイトJoint