来年2021年4月の介護報酬改定に向けた議論を進めてきた審議会の12月18日の会合では、前日の17日に政府が全体の改定率をプラス0.7%とする方針を決定したことについて、一部の委員から異論が噴出した。
「制度を支える現役世代にとっては更なる負担増となる。厳しい結果と言わざるを得ない」。
そう不満を漏らしたのは健康保険組合連合会の河本滋史理事。大企業のサラリーマンなどが加入する健保組合の立場を代表する委員だ。
介護報酬の引き上げは給付費を増やし、それが40歳以上の保険料にはね返る。サラリーマンなら労使折半。本人と会社が支払う金額がそれぞれ高くなる。
河本理事は席上、給付費の膨張が続いていることや現役世代の減少が進んでいること、コロナ禍で所得が下がった人が少なくないことなどを説明。「来年度は保険料率の大幅な上昇を余儀なくされることは確実」との見通しを示した。
そのうえで、「制度を支える現役世代はこれ以上の負担増には耐えられない。深刻に捉えている」と問題を提起。あわせて以下のように語った。
「介護サービスの必要性は理解しているが、これまでと同様に拡充を続けていける状況にはない。制度の安定性・持続可能性の確保に重点を置いた見直しを図らないと、いずれ制度が破綻しかねない。給付費の適正化についても十分な検討が必要だ」
このほか、日本経団連の井上隆常務理事は、新たなテクノロジーを活用してサービス・業務を効率化することの重要性を強調。「今後、介護人材の確保がますます困難になる一方で、高齢者の数は増えていく。介護現場の革新を進めるべき」と呼びかけた。
情報提供元:介護のニュースサイトJoint