今年2020年4月の介護報酬改定を機に各サービスの運営基準をどう見直すか − 。厚生労働省は1月13日にこれを正式決定した。
社会保障審議会・介護給付費分科会を開催し、パブリックコメントのプロセスを経た最終案を提示。委員の了承を取り付けた。改正した基準省令を1月下旬にも公布する。
サービスの安定的な提供や質の向上などにつなげる観点から、事業者に新たな取り組みの実施を求める見直しが多く盛られた点が特徴。Web会議が幅広く認められたり押印が廃止されたりと効率化の要素もあるが、現場のタスクは今より増えることになるとみられる。多くの職員が対応に追われるのは毎度のことだが、今回は“いつも以上”になるかもしれない。
とはいえ、見直しは目下の課題を踏まえた非常に重要なものばかりだ。
例えば感染症や災害に対処する力の底上げ。有事を想定した業務継続計画(BCP)の策定、シミュレーションの実施などが全ての事業者に義務付けられる。訪問系、通所系、多機能系、居住系、居宅介護支援、福祉用具貸与では、感染症の流行に備える委員会の開催、指針の整備、研修の実施なども義務化される(施設系は義務化済み)。いずれも経過期間は3年。
高齢者虐待もポイントの1つだ。その発生・再発を防ぐための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の選定が全ての事業者に義務付けられる。経過期間は同じく3年。
介護職を悩ますハラスメントの被害を減らすための規定も加わる。利用者・家族が加害者となるケースも念頭に、適切な対策をとることが全ての事業者に義務付けられる。こちらは経過期間なし。
このほか、無資格の職員に認知症介護基礎研修を受講させることが全ての事業者の義務となる。経過期間は3年。また施設系では、入所者の転倒や転落、誤嚥、誤薬といった事故のリスクマネジメントの強化に向けて、安全対策にあたる担当者の選定などが義務化される。経過期間は6ヵ月。
13日の分科会では、タスクが増える現場へのきめ細かい支援策を講じるよう促す声が多くあがった。厚労省もこれにできるだけ応えていく構えをみせている。
情報提供元:介護のニュースサイトJoint