老人ホームを探そうと思った際に、最初にすること【老人ホームの選び方 vol2】
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千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。

こんにちは! 千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長の石田です。前回、「老人ホームは『良い』『悪い』ではなく、『合う』『合わない』で判断することが大切」と、老人ホームを選ぶ際の基本の考え方についてお話しさせていただきました。

第2回では、老人ホームを探そうと思った際に、最初にすることについてお話しいたします。

とにもかくにも自分より詳しいプロに相談する! 

よく老人ホームを探す流れのステップ1として“希望条件を整理する”と書いているサイトや書籍などがありますが、この“希望条件を整理する”こと自体が一般の方には非常に難しいのです。

普段、私が初めてご相談者の方と面談するとき、『お探しの老人ホームの希望条件は何ですか?』とは、絶対に聞きません。なぜなら、聞いても明確に答えられる方がほとんどいないからです。

賃貸住宅等の不動産と違って、ほとんどの方が老人ホームをお探しになるのは初めてですから、「どんな老人ホームがあるのか?」「費用はどのくらいかかるのか?」「介護保険制度はどんなものか?」などわからないことだらけ。「何を希望条件にすればよいのか?」がそもそもわかりません。

ですから、「ひとりで」ではなく、老人ホームや介護保険制度などについて、“自分より詳しいプロにとにもかくにも相談し、一緒に希望条件を整理する”ことが大切です。

また、ご本人の状況によって相談先は変わります。

今回は地域包括支援センターとケアマネジャーの2カ所の相談先について、その特徴とメリット・デメリットをご説明いたします。

地域包括支援センター 

介護保険を利用していないが、生活に不安がある、もしくは介護が必要という方にお勧めの相談先は「地域包括支援センター」です。

地域包括支援センターを一言で表すと、『地域の高齢者のためのよろず相談所』です。

後述する居宅介護支援事業所は、要介護認定を受けた人に対してケアプランを作成する事業所なのに対して、地域包括支援センターは、介護認定を受けていない方でも管轄地域の高齢者の方であれば、生活上の困りごとに対して総合的に相談にのってくれる場所です。

生活に不安を感じ、困ることが多くなってきたからといっても、解決策は老人ホームへの入所だけではありません。介護保険サービスや地域のネットワークを利用してご自宅での生活を継続する方法もあります。

そんなときに、『介護保険サービスを利用したいけど、手続きはどうすればいいの?』『地域のネットワークには何があるの?』などの相談に対し、介護保険の申請の仕方や地域の見守りサービス、健康教室、宅食サービス業者などを教えてくれるのが地域包括支援センターです。

また、要支援認定を受けた高齢者に対する介護予防ケアプランの作成、ケアマネジャーや老人ホーム紹介センター等の各種専門事業所の紹介、老人ホームの入所を希望される方には、一緒に希望条件の整理もしてくれます。

老人ホームの相談先として他の相談先と比べた場合、最も中立の立場でアドバイスしてくれる点がメリットといえるでしょう。

逆にデメリットは中立的な立場な分、個々の老人ホームの評判等はあまり教えてもらえないので、どの老人ホームにするかは、各老人ホームに問い合わせしたり、見学をしたりするなどしてご自身で判断することになります。

ケアマネージャー(居宅介護支援事業所)

ご自宅で介護保険を利用中(主に要介護1以上)の方にお勧めの相談先は、ケアマネージャー(居宅介護支援事業所)です。

ケアマネジャーは、介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)の作成や各サービス事業者との調整を行う、介護保険に関する専門家です。居宅介護支援事業所という事業所に所属しています。

地域包括支援センターや住まいのある市区町村の「福祉課」の窓口に行き、介護保険を申請し要介護1以上の認定が付いた場合、ケアマネジャーと契約することになります(要支援1・2の方は地域包括支援センターと契約します)。

ケアマネジャーを探すには、前述の福祉課や地域包括支援センター経由でケアマネジャーに連絡してもらうか、居宅介護支援事業所のリストや冊子をもらってそこから探すのが一般的です。

ケアマネジャーと契約すると、実際にケアプランを作成、必要な介護サービス(福祉用具貸与・訪問介護・デイサービスなど)を利用できるようになりますが、その後、自宅での生活が困難になった場合には老人ホームについて相談にのってもらうこともできます。

老人ホームの相談先としてのメリットは、ご家族よりもケアマネジャーの方が利用する方の状況をよく把握しているケースが多いので、老人ホームの“希望条件を整理する”際に、ケアマネジャーに頼るのは非常に良いと思います。

デメリットは、ケアマネジャーはあくまでケアプラン作成の専門家であり、老人ホームの専門家という訳ではありませんから、担当エリア内の老人ホームの情報はもっているものの、エリア外に関してはあまり詳しくないことも多いという点です。

在宅の方は必ず地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しましょう!

デメリットがゼロではないですが、一般の方が一人で老人ホームを探すよりも、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談されるほうがスムーズに探せるようになりますので、ぜひご活用ください。

次回は、引き続き老人ホームの相談先として、病院のソーシャルワーカー、老人ホーム紹介センターについて解説いたします。

記事提供:石田治男
千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス 所長
入居相談員 / 老人ホームアドバイザー

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