31軒目にして入居できた特養。入居が必要だと判断したらすぐに行動を起こそう【介護施設探しの体験談】

31軒目にして入居できた特養。入居が必要だと判断したらすぐに行動を起こそう【介護施設探しの体験談】
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千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。

パーキンソン病が進行し、一人での生活が困難なお母さまのために、特別養護老人ホームを探していたK.J.さん。申し込みをしてもすぐに入居できるケースは少ないので、自治体の福祉関連部門へ相談したり、施設へ申し込みを一軒でも多くすることが必要だと話します。

31軒目にして入居できた特養。入居が必要だと判断したらすぐに行動を起こそう

【プロフィール】
<入居者>母
<施設種類>特別養護老人ホーム(特養)
<入居年齢>70代
<介護度>要介護3
<入居期間>2001年9月〜2011年12月
<居住地域>静岡県
<話を聞いたかた>長男

入居者との関係

実母です。

医療的ケア・疾患、症状など

40代で発病しましたが、病名も原因も不明という状態で身体の自由度が侵されていきました。後年パーキンソン症候群と診断された時にはかなり進行しており、特養入所時には末期患者でした。

入居を決めた時期と理由

私の実家は商売を営んでいたのですが、不幸な出来事に見舞われて両親揃って破産手続きをしました。金融業者に所有権を渡す羽目になり、傷心のうちに父親は病気になり、移転先を探すのがやっとという有様で、母の介護どころではありませんでした。

世帯を別に構えていた長男の私は、忙しいのと自分自身の健康問題もあり、かろうじて金銭的援助をするにとどまっていました。そうしている中、母は肺炎を併発し入院。快癒した時は、退院して帰る家も介護者もおらず困った、という状況でした。

施設の探し方

母と私がそれぞれ居住していた市の高齢者福祉を担当する部署(自治体)に特養のリストをもらい、片っ端から連絡をとりました。

私が仕事の合間に施設を訪問し、受け入れが可能かを問い合わせ、先方からは母の健康状態や家庭・経済状態を問われ、詳しく説明しつつ申し込みをしました。

30施設以上を訪問し、同じ手続きをとりました。その最中で福祉に関する勉強がかなりできたと思います。

入居の手続き、ステップ

当時、母が入院していた病院からは、「肺炎は治ったが、パーキンソン病は現状以上の回復は見込めず、積極的治療は不可能なので早々に退院してほしい」と強く要求されていました。

入所の可能性を求めて特養の訪問・申し込みを重ねましたが、現状は満員であるという理由でどこからも受け付けてもらえませんでした。

そんなとき、私の自宅から遠いという理由で選択肢に入れなかった施設に、最後の望みをかけて申し込みをしたら、入居者のお一人が亡くなったため入居枠があると知らされました。

病院で施設の担当者と母とで面会した結果、入所が決まり、病院を退院した足でそのまま施設に向かいました。

入居して良かったこと

いわゆる「老人ホーム」というものが、私にはあまりよろしくないイメージがありましたし、母自身もこれから生活する場についての情報もなく不安だったようです。

しかし、母が入居した施設は建て替えられたばかりで、入り口などちょっとしたホテルを思わせるようなきれいな外観で、それだけで母はホッとしたと後から言っていました。

また介護に携わるスタッフは、仕事が適切なのはもちろん、入居者である母ばかりか、常に私の健康状態も気遣ってくれるなど、安心して任せることができました。

母の些細な健康状態の変化や、転倒してちょっとしたあざをこしらえてしまったことなど、細かな情報も連絡してもらえたので、私は十分満足し感謝しています。

レクリエーションなど行事も豊富かつ多彩で、いつも母を楽しませてくれました。

入居して大変だったこと

特段、面倒な問題は起きませんでした。「丁寧親切に世話をしてくれるスタッフにお礼がしたい」と母が言うので、何かお礼の品を届けたり、手紙を書いたりという必要があったくらいです。ですがこれらは何の負担でもなく、日頃の感謝の気持ちを表せるのならお安い御用と思っていました。

ひとつ問題をあげるとすれば、元々の主治医と入居した施設との提携関係がなかったために、これまで診てもらっていた病院には連れて行ってもうらうことができなかったことです。母が主治医への信頼感が厚かったのもあり、落胆する様子がありました。しかし、その点も施設側が解決してくれ、ほどなく母の希望通りになりました。

入居を検討しているかたへのアドバイス

例えば、親を施設に入居させるという立場の人は、そのこと自体に後ろめたさを感じがちに思われます。私自身もそうでしたし、入居者の家族も概ねそのように考えていることもわかりました。

しかし家族が介護疲れの果てに生活が立ち行かなくなっては元も子もありません。そのため施設への入居は重要な選択肢の一つと考えて、客観的に必要なら、すぐにでも申し込みをするべきです。

一般に、施設への入所が望ましいと判断される人ほど優先的に入居させてもらえるという建前はあるものの、申し込みをしても長らく良い返事をもらえないと嘆く人も多いので、まずは申し込みはするべきでしょう。少しでも多くの施設をあたり、また自治体の福祉関連部署への相談も積極的にしてください。

世の中に頼りになる専門家はいますが、親の介護施設を探すなどの必要があったときのために、介護や福祉について詳しくなっておくべきだと考えます。

※入居時点の情報であり、あくまでも個人の感想です。

★特別養護老人ホーム(特養)について詳しく知りたいかたは、こちらをご覧ください。

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