ひとりでも困らない!「民間施設」の種類と特徴【老人ホームの選び方 vol6】

こんにちは! 千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長の石田です。

前回は社会福祉法人や医療法人などが運営する「公的施設」について説明しました。

ひとりでも困らない!「公的施設」の種類と特徴【老人ホームの選び方 vol5】(介護カレンダー)

今回は企業が運営している「民間施設」について解説します。

前回の「公的施設」と合わせると種類がたくさんあり覚えるのが大変かもしれませんが、公的施設との違い、各施設の種類別の特徴をしっかり理解しましょう。

「民間施設」には主に要介護状態の方を対象とした「介護付き有料老人ホーム」、主に自立度の高い方を対象とした「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」、認知症の方の自立支援を目的とした「グループホーム」の4つがあります。

1.介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護) 

介護付き有料老人ホームとは、行政から「特定施設」の指定を受けた施設のことです。

正式には「特定施設入居者生活介護」といいますが、介護保険法に基づき、厚労省の定めた人員基準、設備基準、運営基準を満たしている施設を指します。

この指定を受けていないと、ホームページやパンフレットなどで「介護付き」と名乗ることはできません。

特定施設では施設に所属する職員が介護サービスを提供するよう定められており、24時間介護職員が常駐し、食事・入浴・排せつ介助などの身体介護のサービスを受けられます。

看護師も日中帯は1名以上常勤するよう定められておりますので、医療ケアが必要な方も入所できます。夜間帯も含めた24時間看護師が常駐しているホームもあります。

公的施設の特養もこの特定施設の指定を受けており、看護師が勤務していますが、介護付き有料老人ホームと比べると日中のみの勤務体制のホームが多く、24時間看護師が常駐しているホームを希望する場合は介護付き有料老人ホームをメインに探すと良いでしょう。

また、特養の場合は原則要介護3以上の方しか入所できませんが、介護付き有料老人ホームと、後で説明する住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、要介護〇〇以上という縛りはなく、ホームによって自立や要支援の方でも入所できる施設もあります。

民間施設の場合、公的施設よりもアクティブに活動ができる入所者が多いので、入居者の雰囲気は特養などの公的施設と比べると明るくなる傾向があります。

しかし、費用は、公的施設と比べると、民間施設の方が数万円以上は割高になります。

有料老人ホームとは(介護カレンダー)

2. 住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅

他のサイトや書籍等では、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅を別個に説明しているケースが多いと思います。

この両施設は、法制度が違ったり、建築基準が違ったりと細かい違いはあるのですが、実際の老人ホーム探しの現場では、ほぼ同じ物として扱われています。

というのも、介護保険サービスの体制がこの両施設は同じですので、細かい違いはあまり考えず、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、ほぼ同じ物と考えた方が老人ホーム探しはスムーズになります。

介護付有料老人ホームとの違いは明確で、前述の通り介護付有料老人ホームは特定施設の指定を受けて、介護や看護などのサービスはホームスタッフが行うのに対し、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅はホームスタッフが介護や看護サービスを行うことはありません。

介護や看護などのサービスは外部の訪問介護や訪問看護、デイサービスなどの在宅サービス事業所と個別に契約し、そこのスタッフによるサービスを受けることになります。

ホームによっては、同じ建物や敷地内に訪問介護や訪問看護事業所があり、実質は介護付き有料老人ホームと同じもしくはそれ以上に、介護や看護サービスが充実したホームもあります。

ただ、住宅型有料老人ホームにしてもサービス付き高齢者向け住宅にしても、介護や看護サービスは外部の事業所を利用し、ホームスタッフが直接行うサービスは安否確認や生活相談、食事の提供などがメインとなりますので、介護付き有料老人ホームと比べてお元気な方向けの施設が多くなります。

費用は、お元気なかたは介護付き有料老人ホームよりも安くなる施設が多いですが、介護や看護サービスの回数が多い方は、オプション料金を別個に請求され、介護付き有料老人ホームよりも大幅に高い料金を請求されるケースもあるので注意しましょう。

サービス付き高齢者向け住宅(介護カレンダー)

3. グループホーム

グループホームは、要支援2以上で原則65歳以上の認知症高齢者で、施設がある自治体に住民票があるかたが入居できる施設です。

特養等の公的施設と同様に、全国一律で上記の入居要件を満たしていないと入居はできない点と、他の民間施設と比べると費用が割安な点は、公的施設に近い施設とも言えます。

なお、認知症かどうかの判断は家族や本人等だけの判断ではなく、医師から認知症の診断が必要となります。

グループホームの特徴としては、5~9人を1ユニットとする少人数で、専門スタッフから介護サービス、機能訓練等を受けながら、料理や掃除などの家事を分担し共同生活を送ります。

他の施設では料理や掃除等は、専門の厨房スタッフや職員が行い、入居者が行うことは通常ありません。グループホームでも料理や掃除は入居者に強制的にさせるわけではなく、お身体の状態等に合わせ行いますが、グループホームは自立支援を目的にし、家庭的な環境を希望の方に合う施設と言えるでしょう。

介護職員は介護付き有料老人ホームと同様に24時間常駐していますが、看護師の配置義務はないためほとんどのグループホームには看護師が勤務していません。

医療ケアや、重度の介護が必要になった場合は退去しなければならないケースがありますので注意しましょう。

なお、認知症のかたの受け入れは、介護付き有料老人ホームや特養等、他の施設でも行っています。グループホームは認知症のかたの専門施設というイメージが強いですが、認知症状や必要な医療ケアによっては、グループホームよりも他の施設の方が合う場合もあります。

費用は月額料金に加え、初期費用として入居金や保証金が数十万円程度必要な施設もありますが、他の民間施設と比べると、月々数千円から数万円安いホームが多いです。

グループホーム(介護カレンダー)

4. まとめ

前回の「公的施設」に引き続き今回の「民間施設」を合わせて老人ホームの種類について解説しました。文章だけではなかなかイメージが沸かない点もあると思いますが、実際に老人ホームを探す際に困らないようしっかり理解しておきましょう。

次回は、入所後に一番トラブルの原因になる「老人ホームの費用」について詳しく解説する予定です。

記事提供:石田治男
千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス 所長
入居相談員 / 老人ホームアドバイザー

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