こんにちは! 千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長の石田です。
今回は、老人ホーム選びに大切な「老人ホーム見学のポイント」。前回の「ハード面」に続いて、「ソフト面」におけるチェックポイントについて解説します。
不動産と比較し考えても、老人ホームは「ソフト面」がより重要となります。ハード面をチェックしなくて良いという訳ではないですが、目安としては、ソフト面7割・ハード面3割くらいの比重でチェックすることをお勧めします。
ぜひお読みください。
老人ホームの選び方(介護カレンダー)
1.「ソフト面」でチェックすべき5つのポイント
1-1 介護体制
民間の施設では、老人ホームの種類やホーム毎の方針によって介護体制が違います。
一般的な介護付き有料老人ホームでは、入居者3人に対して1人以上、介護職員または看護職員を配置する義務があります。
ホームによっては、入居者2.5人に対して1人以上、2.0人に対して1人以上職員を配置していて、人員配置を手厚くしているホームもありますので確認してください。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の場合は、介護付き有料老人ホームと違い人員配置の義務はありませんので、ホームによって職員体制はさまざまです。
介護職員が全くいないホームもあれば、ホーム内に訪問介護事業所が併設しており、24時間、介護職員が常駐しているホームもあります。
なかには、日中は介護職員が常駐しているが、夜間は職員が一切おらず、緊急通報装置を押すとセコムやアルソックといった警備会社が駆けつけるというホームもあります。どのホームも夜間は介護職員が一番手薄になる時間帯ですから、夜間帯に介護職員が何人勤務しているのかしっかり確認することが大切です。
他の老人ホームと比較をしやすくするためには、日中帯と夜間帯に分けて、それぞれ1フロアの入居者の人数に対して何名介護職員が勤務しているのかを確認すると良いですよ。
1-2 看護(医療)体制
介護体制と同様に、日中帯と夜間帯に分けて、それぞれ1フロアの入居者の人数に対して看護師が何名勤務しているのかを確認しましょう。
介護付き有料老人ホームの場合、介護職員は24時間常駐しているのに対して、看護師は日中のみ常駐しているホームが多く、24時間常駐しているホームは少数です。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も、介護付き有料老人ホームよりも数は少ないのですが、看護師が日中や24時間常駐しているホームもあります。
なお、看護師24時間常駐しているホームでも、夜間帯は1名のみの勤務体制のホームがほとんどで、2名以上勤務しているホームは稀です。
看護師の勤務体制と合わせて、対応できる医療行為についてもしっかり確認しましょう。同じ勤務体制のホームでも、ホームの方針や看護師のスキル、病院との協力体制などの違いにより、対応できる医療行為は違います。
例えば、嚥下(えんげ)機能の低下などにより口から食事を摂れず胃ろうをされているかたの場合、看護師が日中もしくは24時間常駐していれば対応できるホームが多いですが、ホームの方針で受け入れしていないところもあります。
また、ホームと連携している医療機関についても確認しておくことが大切です。訪問診療は受けられるのか、どこの病院が訪問診療に来るのか、内科以外の外科や皮膚科、眼科、精神科などと連携しているか等です。
医療法人が運営しているホームなどでは、入院が必要になった場合、優先的に入院できる場合もありますが、それ以外のホームの場合は近隣の病院との協力関係ができているかも確認しましょう。
1-3 看取り体制
看取りとは本来、延命治療などは行わず、高齢者が自然に亡くなられるまでの過程を見守ることをいいます。
最近は看取りまで行う老人ホームが増えていますが、入所された後、実際に看取り段階に入ったかたから次のような不満の声もしばしば聞こえてきます。
「入所前は看取りまで行うとホームから説明を受けていたのに最後は病院と言われた……」「点滴はホームじゃできないから病院からホームに戻って来ないでと言われた……」等です。
「看取り」というとホームで最期を迎えられると思いますよね。しかし、実際に最後は病院で看取るというケースも少なくないようです。
「看取り」と混合されがちな言葉に「ターミナルケア」という言葉があります。両者の違いは「介護対応か、医療対応か」です。
「看取り」は食事や排せつの介助など、日常生活のケアを中心とするのに対し、「ターミナルケア」は点滴や酸素吸入などの医療的ケアが中心になります。
「ターミナルケア」まで対応しているホームは非常に少ないのですが、「看取り」=「ターミナルケア」をイメージされている方が多いように感じています。
「看取り」という場合、「ターミナルケア」まで対応してくれるのか、どこまで医療対応が可能なのかをしっかりホームに確認しましょう。
1-4 レクリエーション・イベント
老人ホームでは、集団体操やカラオケ、書道といった日々のレクリエーションや、季節ごとの行事としてクリスマスやお花見といったイベントも開催されています。
レクリエーションやイベントは老人ホームでの生活を楽しく過ごすための一つの要素と考えて良いでしょう。
音楽レクや脳トレなどは認知症予防にもつながりますし、体操や園芸などは身体機能維持のためのリハビリにもなります。
ホームによって、レクリエーションやイベントの内容はさまざまで、実施頻度も違います。
入所する方の趣味趣向に合いそうなレクリエーションはあるのか、毎日行っているのか、イベントは季節ごとなのか、月1程度なのか等、確認しましょう。
見学時に月のレクリエーション表や、年間の行事予定表を見せてもらうと良いですね。
なお、他の人と交わることは好きではないので、レクリエーションやイベントは重視しないというかたもいると思います。
そういったかたも、レクリエーションやイベントが多いか少ないかによって、人手に余裕があるか、ないかなどもある程度判断できるので確認することをお勧めします。
1-5 スタッフと入居者の表情
全見学ポイントの中でも一番大事なチェックポイントと言い切っても良いくらいでしょう。どんなに豪華な建物、立派な設備があっても、ホームでお世話になるスタッフや一緒に暮らす入居者と合うかどうかが大切です。
■スタッフ
全スタッフが、イキイキとした表情で働いているか。すれ違う際にしっかり挨拶してくれるかは基本のチェックポイントです。直観的に感じが良い悪いで判断しても良いと思います。
暗い顔で挨拶もせず殺伐とした雰囲気のホーム等は入居を避けるのが賢明です。えてしてそういったホームでは、スタッフの不満が多く職員の離職率が高く、入居者に親身に対応する余裕もないといったホームが多いです。
また、できれば見学時に施設長やケアマネジャーと話す機会をもつと良いでしょう。見学時の対応はホームの営業マンが行うところもありますが、直接ホームの運営に関わっているのは施設長ですし、入居後一番やり取りするのはケアマネジャーです。
その他、見学時はスタッフ同士の会話や、入居者家族が面会に来ている場合などは、家族とスタッフの会話が良好にされているか等も耳を凝らしてチェックしてください。
■入居者
昨今は、コロナ過のため、入居者がいるフロアを見学できないホームも多いのですが、ホームにお願いして遠目から入居者を確認したり、レクリエーションやイベントの写真などを見せてもらったりなど、何らかの方法で確認すると良いと思います。
2.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「老人ホーム見学のポイント」の「ソフト面」のチェックポイントについて解説しました。前回の「ハード面」の見学ポイントと合わせて、実際に老人ホームを見学する際の参考になればと思います。
老人ホーム見学の際にハード面でチェックすべき 6つのポイント
記事提供:石田治男
千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス 所長
入居相談員 / 老人ホームアドバイザー