在宅復帰が目的!?『老健』ってどんな施設なの?【介護1年生の編集者が調べてみた〜Vol13】
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在宅復帰が目的!?『老健』ってどんな施設なの?

「高齢者施設」や「介護」について絶賛勉強中の、介護カレンダー編集部員の私。いろいろ調べているなかでよく目にする「老健」という施設。

「老健」は「介護老人保健施設」の略称で、<介護保険法第8条第28項>において、「要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居室における生活を意図なくことができるようにするための支援が必要な者に対して、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活の世話を行うことを目的とする施設」と定義されています。

「在宅復帰を目指す入居者が、できるだけ自立した日常生活を送れるように、リハビリテーションや必要な医療・介護を提供」している、いわば自宅と病院の中間施設にあたり、設置主体は医療法人や社会福祉法人、地方公共団体です。

と書きながら、やっぱり難しい……

今回は「介護老人保健施設(老健)」がどんな施設なのか、勉強してみることにしました。

Q.「介護老人保健施設(老健)」の特徴は?

簡単に言えば、「介護老人保健施設(老健)」は、「要介護の認定を受け(※)在宅復帰を目指す人が可能な限り自立した日常生活を送れるよう」介護やリハビリテーションによる機能訓練、必要な医療などを提供、支援する施設です。

「介護老人保健施設(老健)」には医師が常勤しているほか、入所者の割合に応じて看護・介護職員や支援相談員、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション職員、管理栄養士などが配置されています。

さまざまな専門知識や技術をもったスタッフはチームを組んで、入所者一人ひとりの目標や支援計画の下、医療や看護、介護、リハビリテーションを提供、それぞれの早期在宅復帰を支援します。

また、「介護老人保健施設(老健)」は、特にリハビリテーションに力を入れていて、入浴や食事、トイレなど日常生活をスムーズに行うための「生活期のリハビリテーション」、および身体の機能の衰えや認知症の人に対する「専門的な職員によるリハビリテーション」が提供されています。


Q.「介護老人保健施設(老健)」に入居できる人は?

「介護保険施設(老健)」に入居できるのは、病状が安定していて入院治療の必要がない要介護度1から5のリハビリテーションが必要で、家庭への復帰を目指す人です。
ちなみに、要支援1、2の人は「介護保険施設(老健)」の入所対象にはなりません。

「介護老人保健施設(老健)」に入所する際は、希望する施設に直接申し込むのが基本です。入所にあたっては、本人た家族と面談、必要書類を提出した後、判定会議が開催され、入所可否が決定されます。

なお「介護老人保健施設(老健)」は、あくまでも在宅復帰を目指すための施設ですから、3カ月ごとに入所継続判定が行われます。

また、リハビリ訓練を行っても在宅復帰は無理と判断されると、「特別養護老人ホーム(特養)」などのより介護サービスが手厚い施設に移ることになります。

筆者の知り合いも、病院から「介護保険施設(老健)」へ。残念ながら自宅へは戻れず、介護付き有料老人ホームへ移りました。しかしこのようにスムーズに移動先が見つかるとは限らず、受け入れ先が見つからず待機となるケースもあるようです。

Q.「老健」の居室はどうなっているの?

「介護老人保健施設(老健)」の居室には、基本的に「従来型個室」と、10室程度の個室が並ぶ「ユニット型個室」、壁が天井までなく隙間がある個室が並ぶ「ユニット型個室的多床室」、相部屋の「多床室」があります。

ユニット型個室は10.65㎡以上、多床室は入居者1にあたり8㎡以上の床面積が必須となっていて、どちらもナースコールや収納設備が設置されています。

昨今、特養、老健などの介護保険施設は個室化が進んでいますが、「介護老人保健施設(老健)」は在宅復帰を目指すための施設で、入居期間が限定されているため、老健などに比べるとまだまだ「多床室」が多いようです。

なお居室のほかに、機能訓練を図るためのリハビリ用器具や機械を備え、入居者定員数×1㎡以上の面積の機能訓練室が必ず設置されている点も特徴のひとつです。

Q.「介護老人保健施設(老健)」の費用は?

「介護老人保健施設(老健)」は、介護老人福祉施設、介護医療院と同様に、介護保険サービスを利用できる介護保険施設です。

「介護老人保健施設(老健)」には、「施設サービス費」(施設の形態や居室の種類、職員の配置などによって異なる)の他、「居住費」「食費」、「日常生活費」(理美容代、電話代、日用品代など)がかかりますが、そのうち「施設サービス費」は介護保険の対象となり、要介護度と利用者負担割合、所得段階によって決定されます。

(1)施設サービス費(利用者負担割合に応じて1~3割を負担)

(2)介護サービス加算(設備やサービスなどに応じて基本の介護サービス費に加算)

(3)居住費(室料+光熱費相当/居室タイプによって変動)

(4)食費

(5)日常生活費(レクリエーション費や理美容代、電話代や日用品代など)

リハビリなどの個別対応に力を入れている分、特別養護老人ホーム(特養)と比べるとやや高額になりますが、同じサービスを民間の有料老人ホーム等で受けた場合に比べるとかなり安い金額となるようです。また入所金など初期費用はがかからないのは大きなメリットですね。

とはいえ、費用は下記の条件によって変わってくるため、一概に「介護老人保健施設(老健)」だから安いとも言い切れません。

(a)要介護度(介護1〜5)
(b)施設の設置場所
(c)所得の段階(第一段階〜第四段階)
(d)介護保険の負担割合(1割〜3割)

もし「介護老人保健施設(老健)」への入居を検討されているのであれば、早めに該当施設やお住いの市区町村へお問い合わせくださいね。

全老健「介護老人保健施設 施設紹介サイト」

なお、所得や資産が一定以下の場合、居住費と食費については負担限度額が設定され、超過分は介護保険から給付されます。また市区町村に申請することで、月々の利用者負担額の合計額が所得による上限額を超えた分が介護保険から支給されます。

1)「老健」は、リハビリによって機能回復を図り、在宅復帰を目的とした介護保険施設
2)「老健」は、あくまでも在宅復帰を目指しているので、3ヶ月ごとに入所継続判定がある
3)「老健」は、医師や看護師が常駐しているので安心
4)「老健」は、通常の介護サービスも受けられる
5)機能が回復せず、「老健」から次の施設に移らなくてはならないのにすぐ移れないことも
6)「老健」の費用は特養よりは高いものの、民間の有料老人ホームよりは安い

まとめ

「介護老人保健施設(老健)」は、しっかりリハビリができて介護サービスも受けられ、さらに医療や看護も手厚いので、自宅で再び自立した生活を送りたいという人にとっては、とてもメリットがあると思います。

ただ、終身で入れる施設ではないため、リハビリをしてもあまり改善しなかった場合や、入居中に介護度が進んだ場合などは、次に移る施設をまた探さなくてはならないという点が、やや不安に感じました。

とはいえ、例えば大病などをした後に退院はしたものの、自立した生活に不安があるようなときには、とても心強い施設だと思います。やはり、こうした施設があると知っておくことは大切ですね。

参照:
介護サービス情報システム(厚生労働省)
老健施設とは(公益社団法人 全国老人保健施設協会)
老健ってどういう施設だろう?(公益社団法人 全国老人保健施設協会)

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