昨年1年間の介護事業者の倒産が81件にのぼったことが、東京商工リサーチの特別調査によって明らかになった。
コロナ禍に伴う資金繰りの支援策が奏功し、過去最多だった前年より37件減った。減少は3年ぶり。介護報酬のプラス改定が影響した可能性もある。
もっとも、介護事業者の厳しい経営環境は依然として変わらない。人手不足はより切実な問題となり、他産業も含めた人材の獲得競争が激化の一途を辿っている。コロナ禍で不確実性は更に高まった。高齢者の”利用控え”に加え、急に体制が維持できなくなったりコストが増大したりするリスクも新たに顕在化した。
「経営体力が低下し、国の支援策によって支えられている事業者も多い」。東京商工リサーチはそう分析している。
昨年の倒産の内訳をみると、深刻なホームヘルパーの不足・高齢化に喘ぐ「訪問介護」が全体の58.0%を占めている。過当競争が続く「通所介護・短期入所」が20.9%で2番目に多い。
倒産全体の86.4%が負債1億円未満、90.1%が従業員10人未満。資金面に余裕のない小・零細事業者が行き詰まるケースが目立っている。
東京商工リサーチはこうした状況を踏まえ、「介護事業者には人材確保と生産性の向上が必要だが、小規模なところが多く自力での課題克服には限界がある。きめ細かな支援が求められている」と指摘。「コロナ禍に伴う支援策の息切れも散見される。今後の報酬改定や支援策の動向によっては、廃業や倒産などが急増に転じる恐れがある」としている。
情報提供元:介護のニュースサイトJoint