厳格だった祖母の様子がおかしい…単なる物忘れ?診断を受けてから家族で心がけていること【体験談】

厳格だった祖母の様子がおかしい…単なる物忘れ?診断を受けてから家族で心がけていること【体験談】
連載タイトルPIC

介護施設や自宅での介護、介護について調べたり、介護を考えるきっかけになったことなどの体験談、マンガ記事をお届けします。

厳格だった祖母の様子がおかしい…単なる物忘れ?診断を受けてから家族で心がけていること【体験談】

私の祖母は華道の先生で、生徒さんが週4日入れ替わりで通ってきています。1週間のスケジュールは決まっており、どの生徒さんが何曜日に来ることもこれまではしっかり管理できる祖母でした。しかし、久しぶりに祖母宅へ行くと、電話で何度も予定を確認している祖母の姿がありました。

★関連記事:「あんなに元気だった義母がまさか…」認知症を発症した義母の同居介護が始まって【体験談】

カレンダーに記された無数の生徒さんの名前

祖母は礼儀作法に厳しく、私も和室での正座、立ち振る舞い、お花の生け方など幼いころから厳しくしつけられてきました。そんな厳格で作法に厳しい祖母でしたが、最近では、めっきり角が取れたように性格も穏やかで、どこかのんびりしている性格になり、様子が変わってきていました。

「年のせいかな」と納得していた私でしたが、久しぶりに祖母宅へ行き、これまでとはどこか違う祖母の姿を見ることになりました。これまでの祖母なら、お花を習う新しい生徒さんの来所の曜日だけは、自分のスケジュール帳に記しているくらいでしたが、長年通っている生徒さんまでもカレンダーに名前を記載していたのです。しかも、文字を丁寧に書いていたのに、判読がわかりにくいほど筆跡も違っていました。

祖母は、「物忘れがひどくて、名前を書いていたほうが安心よ」と私に言いました。「おばあちゃん、生徒さんの名前、これでわかる?」と聞く私に、祖母は、「自分がわかればいいのよ」と笑って答えていました。

電話で確認しないと気が済まない

「もしもし、○○さんのお稽古は木曜日でしたよね?」「何度もごめんなさいね、心配になって」と複数の生徒さんに電話をしている祖母を目撃し、その様子にあ然とした私。しかし、祖母の毎日のルーティンのような、朝の散歩、庭の花の手入れ、お花のお稽古などの日常生活にはさほど気になるようなことはなかったため、気付かなかったのです。

その日、お稽古に来ていた生徒さんから、「先生、最近、何度もお電話なさって、稽古日を確認されるのですが」と言われました。曜日が固定されている生徒さんにも何度も電話で確認しているようでした。また、生徒さんの都合で稽古日の変更が入った日には、さらに電話確認がエスカレートして、日に4、5回も電話をかけているようでした。いつもとは違うこと、急な予定変更に対応しきれないでいたようで、先ほど確認したことも数分すると忘れて、同じ質問を繰り返すのです。

受診の結果は…

とてもしっかりしていた祖母だっただけに、最初は戸惑いましたが、年相応の物忘れではないと気付き、何とか説得して受診した結果は、初期の認知症でした。それから、祖母との関わり方やスケジュールの管理方法も祖母のやりやすいように、紙に書いて一緒に確認したり、新しい生徒さんの来訪の際は、祖母が電話する前に母や私が祖母に連絡したりしています。

まとめ

以前のしっかり者の祖母の姿からは、ずいぶんと変わってしまいましたが、何度も電話でスケジュールを確認するのは、生徒さんに迷惑をかけられないという、祖母の几帳面で真面目な性格のゆえんだったのです。こちらは、何度も聞いてくるので、面倒くさくなるときもありますが、「祖母の人格を否定しないように」と心がけて、何度も聞いてくる質問にも初めて聞いたように応えるように努力しています。

文/やまだ

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)

2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。

介護体験談

介護の話の最新記事