2019年6月、政府の認知症施策推進関係閣僚会議が、「認知症施策推進大綱」を取りまとめました。この大綱では、認知症の人や家族の視点を重視しながら、「共生」と「予防」を車の両輪として、施策を推進することを基本的な考えとしています。
そのなかで、「医療・ケア・介護サービス・介護車への支援」を含めた5つの具体的な施策をあげています。
1:普及啓発・本人発信支援
2:予防
3:医療・ケア・介護サービス・介護車への支援
4:認知症バリアフリーの推進・若年生認知症の人への支援・社会参加支援
5:研究開発・産業促進・国際展開
この大綱は、従来厚生労働省や関係省庁が策定してきた従来の認知症政策戦略と異なり、日本政府が策定しています。その策定元は、2018年12月に設置された認知症施策推進関係閣僚会議です。また、同年6月、「認知症基本法案」が自民党・公明党の与党有志議員による議員立法として、衆院に提出されました。この法案は、認知症の人が尊厳を保持しつつ、社会の一員として尊重される社会の実現を目的としたものです。
そして2020年2月6日、認知症基本法の早期成立に向けた院内集会が、衆議院議員会館で開催されました。集会は、「認知症当事者・支援者連絡会議」と「一般社団法人 日本認知症本人ワーキンググループ」が企画し、与野党の国会議員のほか厚生労働省の関係者、有識者らが参加しました。
主催者側からは「認知症施策を充実させ、当事者にとってのよりよい未来を創造するため、その法的根拠となる『認知症基本法』を早期に実現してほしい」「『認知症基本法』の実現にあたっては、認知症の当事者である本人や、その家族などの意見を十分に聞き、法律に反映していただきたい」という要望が出されました。
さらに、基本法で掲げられている「予防」という言葉の代わりに、共生を前提とした「備え」という言葉を使うべきとの提言などもあり、活発な議論が交わされたということです。