「元気なころを知っているからこそつらい…」認知症で少しずつ変わっていく家族を介護して【体験談】

「元気なころを知っているからこそつらい…」認知症で少しずつ変わっていく家族を介護して【体験談】
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介護施設や自宅での介護、介護について調べたり、介護を考えるきっかけになったことなどの体験談、マンガ記事をお届けします。

「元気なころを知っているからこそつらい…」認知症で少しずつ変わっていく家族を介護して【体験談】

母方の伯父(母の兄)が認知症になり、介護が必要な状態になりました。メディアなどで認知症という言葉は知っていましたが、見るのとやるのとでは大違いでした。認知症は進んでも伯父の体は元気で、介護には気力に加えて体力も必要だということを、身をもって知った私の体験談です。

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少しずつおかしくなっていく伯父

最初に伯父の異変を感じたのは、会話の中で少しずつズレが生じてきたときです。質問に対する答えが要領を得ておらず、求めた回答が得られません。ただ、伯父はもともと口数の多い人ではなかったので、そのときはさほど気にもならず、そのまま時間がたちました。

しかし、会話のキャッチボールができないことが増えるにつれ、認知症の疑いは強くなりました。正常に会話ができる時間と、そうでない時間のバランスが変わってきて、「おかしいな」と感じることが増えたのです。

病院へ連れ出すのもひと苦労

伯父は頑固で、病院に行くのを嫌う人でした。心療内科などに連れて行くのは簡単ではなく、なかなか病院に行く話は切り出せませんでした。そうしているうちに少しずつ言葉や行動が乱暴になり、怒鳴り散らす場面が増えてきました。

暴れ出すとひとりで押さえるのも難しいため、介護士さんに相談することに。さすがにもう家で介護をするのは難しいと判断し、なんとか伯父を病院に連れて行くことに決めました。

病院で暴れる伯父

私ひとりでは心細いので、従妹と2人がかりで伯父を病院へ連れて行くことに。伯父の家はきれい好きの伯父からは想像できないほど散らかり、異臭もありました。私たち2人が部屋に入るなり、「座ってこのテレビ番組を見ろ!」と怒鳴られました。テレビ番組の内容とは違うことを大きな声で話し続け、会話になりません。

伯父が信頼している医師の名前を出し、今から病院に行かなければいけないことを伝えます。何とか納得した伯父を病院に連れて行きましたが、待合室でも大きな声で怒鳴っていました。医者の診察を受ける際は同席して伯父の症状を伝えましたが、医師にも怒鳴るなどあまり会話にはなりませんでした。

暴力的なこと、清潔を保てていないこと、会話ができないことなど総合的に判断し、そのまま入院することになった伯父。寂しさもありましたが、正直少しホッとした気持ちになったことは否定できません。帰りの車中で元気だったころの伯父の姿を思い出して、涙が出そうになりました。

まとめ

伯父の介護を通じて感じたのは、家族の介護には限界があるということです。周りの協力を得ても、どうしようもないときもあります。まずは医師や専門家に相談したり、病院や施設を頼ったりすることも必要だと感じました。変わっていく伯父を見ていると、昔の元気な姿を知っているだけにいろいろな感情が湧いてきます。それでも、「伯父のためだ」と割り切ることで、気持ちにも整理をつけることができました。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

文/ケニヨン 

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