「大好きな趣味を泣く泣く引退…」空虚感を埋めてくれた人生の新たないきがいとは【体験談】

「大好きな趣味を泣く泣く引退…」空虚感を埋めてくれた人生の新たないきがいとは【体験談】
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介護施設や自宅での介護、介護について調べたり、介護を考えるきっかけになったことなどの体験談、マンガ記事をお届けします。

「大好きな趣味を泣く泣く引退…」空虚感を埋めてくれた人生の新たないきがいとは【体験談】

年を重ねるにつれて、今まで可能だったことがだんだんとできなくなっていく寂しさがあります。趣味だったテニスも体の痛みから引退を考えることに。体力の衰えを感じて落ち込みましたが、趣味の代わりに新たな楽しみを見つけることができました。その楽しみとは……。

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趣味のテニスが楽しい日々

私が定年退職してから見つけた新しい趣味は、テニスでした。体を動かすことが好きだった私はテレビのテニス中継で影響を受けたこともあり、テニス教室に通い始めました。若いころと比べると衰えは感じましたが当時はまだまだ60代、すぐに夢中になりました。教室には同年代の方も数名いたので通いやすく、同じ趣味の友人もできて楽しい日々を送っていました。

加齢とともに現れ始める体の痛み

悔しいですが加齢とともに老化は進むもので、70歳を越えた途端に膝や腰などが痛みだしてきました。それでもテニスは楽しいので自分をだましだまし続けていましたが、就寝時に眠れなくなるほど痛みが残るようになってしまいました。

テニスをした翌日は疲れや膝の痛みが消えず、息子夫婦に手を貸してもらわないと買い物さえ行けない自分に落胆してしまいました。運動が好きな自分にとって、日課のテニスはなくてはならないもの。楽しみが失われてしまうことに心の中でおびえがあり、諦めることができずに教室へ通い続けました。

まさかのドクターストップ

そんなある日、無理して通う姿を見かねたのか、とうとう息子に病院へ連れていかれることに。診断の結果はドクターストップ。いつ膝が壊れてもおかしくないとのことで、「テニスは諦めてください」と言われてしまいました。

自分にとってはとても大切な趣味で、老後の楽しい習慣となっていただけに、大変酷な宣告でした。それに加え、趣味を通じてできた友人たちとも交流する機会がなくなってしまいます。しかし医師の診断、息子夫婦の心配を無視するわけにもいかず、泣く泣く大好きなテニスを引退することを決断しました。

新たな楽しみの誕生

テニスをやめてしばらくは、心に穴が空いたような感覚で何をしても楽しめない日々が続いていました。日々テニスをしていた時間ががっぽりと空いたため、暇に感じる時間がとても長くあるように思えました。出かけることも少なくなり、自宅で過ごすようになった私に、ある日思いがけない楽しみが舞い込んできました。

家で長く過ごすようになると、息子夫婦が孫を連れて遊びに来る機会が増えたのです。孫は成長が盛んな時期で会うたびに変化を感じられます。失ってしまったものを埋めてくれるように、孫が私に懐いてくれることがとてもうれしく、次はいつ会いに来てくれるのか待ち遠しい日々に変わりました。楽しいことは、意外と周りにたくさん潜んでいるということを実感したのです。

まとめ

趣味のテニスが老後の楽しみでしたが、加齢とともに体力の衰え、体の痛みにより続けることが難しくなってしまいました。苦渋の決断でしたが大好きなテニスは諦めることを決意し、しばらくは空虚感に襲われていました。しかし、テニスをやめたことで生まれた空白の時間に孫が会いに来るようになり、新たな楽しみを見つけることができました。人生の楽しみは、いくらでもあることを実感しています。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

監修/菊池大和先生(医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長)
地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。

文/山田ごろう

イラスト/サトウユカ

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