
少し遠出をした週末のことです。歩き回ってすっかり疲れ切ってしまい、帰りは私鉄の特急電車を利用することにしました。あのときの出来事は、今でも忘れられません。
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満席の特急列車でのひと息
なんとか特急券を手に入れ、ようやく電車に乗り込みました。その路線は有名な温泉地のある駅から出発していることもあり、週末の夕方という時間帯も重なって、車内はほぼ満席でした。
自分の座席を見つけて腰を下ろし、人の乗り降りが落ち着くのを待ちました。やっとひと息つけると思い、少しだけ座席を倒そうと考えました。これまでの経験から、後ろの方にひと声かけるのがマナーだと思っていたからです。
「ダメ!」と返されたひと言
私は後部座席の方に向かって、「座席を少し倒してもいいですか?」と丁寧に伺いました。すると、返ってきたのは思いがけないひと言でした。
「ダメ!」
あまりにきっぱりとした返事に、思わず耳を疑いました。一瞬、日本語が通じなかったのだろうかとも考えましたが、その方の隣に座っていた友人か家族と思われる人が、小声で「怖い、怖い」とささやいているのが聞こえました。どうやら言葉の問題ではなさそうでした。
そのやりとりを聞いていた私の隣の席の方や周囲の方々が、「今、ダメって言われたの?」と声をかけてくれました。皆さんも驚いている様子でした。
これまで当たり前だったこと
結局、私は座席を倒すのを諦めました。これまで「倒してもよいですか」と声をかけてから倒すのがマナーだと思い、実際に断られたことは一度もありませんでした。それだけに、あの出来事は強く印象に残っています。
後日、この話を友人にしたところ、「『倒してよいですか?』と聞くよりも、『倒しますね』と伝えるほうが角が立たないこともあるよ」と言われました。その言葉を聞き、「なるほど」と思ったのを覚えています。
まとめ
あの日の特急列車での出来事は、ほんの数秒のやりとりでしたが、自分の中の「当たり前」を見つめ直すきっかけになりました。今でも電車に乗るたびに、あの「ダメ!」というひと言を思い出します。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:田尾砂世/50代女性・会社員
イラスト/マメ美
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)
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