「転倒や誤嚥は事故なのか?」 介護施設の団体が問題を提起

「転倒や誤嚥は事故なのか?」 介護施設の団体が問題を提起
《 27日の分科会。委員の意見を聞く田中会長(手前)ら 》

介護保険施設のあり方がメインテーマとなった社会保障審議会・介護給付費分科会の2020年8月27日の会合 − 。経営者で組織する団体の代表が、現場で発生する事故の扱い方について問題を提起した。

「転倒や転落、誤嚥を事故と認定することについて少し意見を言いたい。例えば、認知症で危険の意識がなく歩行能力も衰えている方などが転倒されるということは、もう事故ではなく老年症候群の1つの症状ではないかと思う」 

こう切り出したのは全国老人保健施設協会の東憲太郎会長だ。 

東会長は続けて、「我々はもちろん拘束はしないが、転倒などを事故とすることで訴訟が頻発している。しかも敗訴が多く大変問題となっている」と指摘。「転倒や転落、誤嚥は本当に事故なのか、ということも検討して頂きたい」と呼びかけた。

第183回社会保障審議会介護給付費分科会資料 

介護施設での事故をめぐっては、長野県の特別養護老人ホームでおやつのドーナツを食べた入所者が亡くなったケースの裁判が、世間の大きな注目を集めた経緯がある。業務上過失致死罪に問われていた准看護師への逆転無罪の判決は、東京高検が今月11日に上告を断念したことで確定した。 

東会長はこの裁判に言及し、「画期的な判決だった」と評価。現場で中心となって質の高いリスクマネジメントを行う人材の養成を進めるなど、引き続き安全管理体制の強化に力を入れる考えも示した。

情報提供元:介護のニュースサイトJoint

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