新型コロナ感染症流行に伴い、介護施設や高齢者にも直接的、間接的に大きな影響が出ています。
認知症の人への影響もその一つ。日本認知症学会が実施した「新型コロナウイルスの流行が認知症の医療や介護に与えた影響について」(2020年8月14日公表)の調査結果では、調査対象の約40%が認知症の症状が「悪化している」と回答するなど、深刻な状況が読み取れます。
また、病院やクリニック受診の減少や介護サービス利用の減少も明らかになりました。介護サービスの利用については、「著しく減少している」が16%、「やや減少している」が48%、訪問系サービスの利用については、「減少あり」が50%、通所系サービスについては、「減少あり」が69%にものぼりました。
日本認知症学会は、各種サービス利用の低下について、「多人数が集合する環境での感染対策が難しく、サービス提供者側からの自粛が見られた」、その理由として、サービス提供者側に感染予防の専門知識が十分ではなく、防具などの資材も不足していたことをあげています。
施設での家族面会が中止となったり、デイサービスの活動がなくなったりしたことで、症状が進行したという回答もみられました。徐々に解消されてきているとはいえ、新型コロナウイルス 非常事態宣言発令後、実際に多くの高齢者向け介護施設で家族との面会を制限するなどの外部との接触が大きく制限されています。
新型コロナの一刻も早い終息を願う一方で、しっかりとした感染症対策のもとで面会を実施するなど、認知症の症状悪化を防ぐ取り組みも必要だと考えます。
(介護カレンダー編集部)
参照:
日本認知症学会
日本認知症学会専門医を対象にした、新型コロナウイルス感染症蔓
延による認知症の診療等への影響に関するアンケート調査結果