厚生労働省は来年4月の介護報酬改定に向けて、介護施設・事業所の職員による高齢者への虐待の防止に関する規定を各サービスの運営基準に追記する検討に入った。
例えば、虐待防止委員会を設置したり責任者に研修を受けさせたりして体制の強化に努めていく決まりを、新たに設けることを俎上に載せる。高齢者の権利を守る取り組みの更なる推進につなげる狙いだ。
10月30日に開催した社会保障審議会・介護給付費分科会で提案した。年内に方針を決定する。
「利用者の人権擁護や虐待防止のため、責任者を設置するなど必要な体制の整備を行うとともに、職員に研修を実施するなどの措置をとるよう努めなければならない」。
現行の障害福祉サービスの運営基準に記載されている一文だ。一方、介護保険サービスの運営基準にはこうした規定が盛り込まれていない。
厚労省は会合で、障害福祉サービスの運営基準も参考に見直しの議論を深めていくと説明。委員からは賛同の声があがり、強硬な反対意見は出なかった。
厚労省の調査によると、介護施設・事業所の職員による虐待の相談・通報件数は2018年度で2187件。虐待判断件数は111件にのぼり、ともに過去最多を更新している。主な発生原因では、「教育・知識・介護技術に関する問題」が最も多いと報告されている。
情報提供元:介護のニュースサイトJoint