こんにちは!千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長の石田です。
老人ホーム探しは難しいものです。なぜなら、人によって老人ホームに入る年齢も、要介護度も生活様式も趣味嗜好も、そして老人ホームにかけられるお金も違うからです。
しかも、希望の老人ホームが見つかったとしても、入所後に想定外のトラブルや困りごとが発生する可能性もあるのが難しいところ。
「老人ホームの選び方」では、私が過去にお受けした実際の相談事例を紹介しながら、注意すべき点を考えていきたいと思います。
ぜひ参考になさってください。
1.認知症で大声。病院から退院を迫られているがすぐに入れる老人ホームは?
1-1 入所対象者の状況
<性別>男性
<年齢>88歳
<介護保険>要介護2
<認知症>あり(大声、不穏あり)
<必要な医療行為>バルーンカテーテル
<既往症>前立腺肥大、腰椎圧迫骨折、高血圧、高コレステロール血症
1-2 相談内容
病院のソーシャルワーカーからの紹介で、奥様からご相談いただきました。
今回対象となるかたは、奥様と二人暮らし。二人の息子さんは離れて暮らしているため、認知症のあるご主人のお世話は主に奥様が担当、他にデイサービスやショートステイなども利用されているそうです。
そのご主人が、自宅で転倒し、腰椎圧迫骨折により入院されることになりました。骨折については保存的治療(手術を行わない治療)のため、病院からは退院を促されています。しかし、入院中に認知症が悪化してしまい、奥様一人での自宅介護は負担が大き過ぎると、老人ホームへの入居を検討されることになりました。
ご主人は認知症の問題行動のため、夕方から夜にかけて病棟で大声をあげてしまい、スタッフが注意しても効果がなく、病院としても対応できずにいる様子。1日も早い退院をと急かされているとのことです。
そのような状態で入居できるホームがあるのか不安を感じながらも、病院からはすぐに次の行き先を決めるようにと言われ、奥様は困り果てていらっしゃいました。
1-3 私の対応
奥様が心配されている通り、他の入居者とトラブルになることが予想される場合は、入居を断られるケースが少なくありません。
老人ホームは集団生活の場です。暴言や暴力、破壊行為がないにせよ、誰かが大声をあげてしまうと、他の入居者に悪影響(不穏)を及ぼすリスクもあるため、入居を断る老人ホームも少なくないのです。
しかし、大声といっても、その程度はさまざまです。薬などで症状を抑えられることもありますし、原因がはっきりしていれば周りの対応で落ち着かれるかたもいます。
また、空室状況にもよりますが、そのかたの居室がケアステーションに近ければ、スタッフがすぐに対応することが可能な場合もあります。
病院のソーシャルワーカーさんに確認したところ、精神症状が落ち着くように薬を調整することで、今よりも落ち着く可能性があるとのことです。またご主人は、腰の痛みが強いときに「お母さん!」「帰る!」と大声を出しているようだと奥様が話されていました。
その内容をもとに、すぐに数件の老人ホームに問い合わせたところ、相談可能なホームが2件見つかり、奥様と早速見学に出かけ、そのうちの1件に無事入居を決めました。
このホームは、駅から近く、高齢の奥様でも通いやすいこと、また食事時には腰の痛み等があって座位が保ちづらいかた向けの椅子が用意されるなど、細かい配慮や対応があるとのこと。それが奥様の安心感にも繋がったようです。
後日、老人ホームの担当者に状況を確認したところ、薬の調整の効果なのか、老人ホーム側が当初想定していたよりもずっと穏やかにお過ごしとのこと。その様子を見た奥様も喜ばれていらっしゃいました。
1-4 今回の事例のポイント
・認知症や統合失調症などが原因で大声を出すかたが入居可能な老人ホームは限られるが、入居できないホームばかりではない
・大声や、暴言・暴力などの問題行動があっても、その原因を考え解決策を一緒に考えてくれる老人ホームもあるので、老人ホーム紹介センターや老人ホームの相談員に問題行動の状況を詳細に伝えることが重要
・どうしても受け入れ先の老人ホームが見つからない場合は、専門の精神病院を受診、そのうえで入院も検討すると良い
2.まとめ
今回は、認知症で大声を出してしまい病院から退院を迫られているかたの事例を紹介しました。入居が難しい場合も、原因がわかれば解決の糸口が見つかる可能性はあります。
その際には、経験豊富な専門家に相談することをお勧めします。
次回も、実際の老人ホームの相談事例を基に解説します。
老人ホームの選び方(介護カレンダー)
記事提供:石田治男
千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス 所長
入居相談員 / 老人ホームアドバイザー