高齢者の身元保証サポート事業、事業者の選択や契約手順などに課題 総務省が初の実態調査

高齢者の身元保証サポート事業、事業者の選択や契約手順などに課題 総務省が初の実態調査

総務省は7日、身寄りのない高齢者が介護施設などへ入所する際に身元保証などを行う民間のサポート事業について、初の全国調査の結果を公表した

契約の際に「重要事項説明書」を作成している事業者が21%にとどまるなど、明らかになった課題を報告。より公正な契約手順の確保など高齢者が安心して利用できる仕組みが必要、と指摘した。

あわせて、「消費者保護の必要性が高い。トラブルも発生しているが、対策が十分に講じられてきたとは言えない」と問題を提起。今後のニーズの更なる拡大も念頭に、法務省や厚生労働省、消費者庁といった関係省庁に対し、「事業の健全な発展に必要な施策の検討を」と要請した。

民間の身元保証サポート事業は、身寄りのない高齢者を主な対象としている点が大きな特徴。介護保険の手続きの代行や動産・不動産の管理、本人の死後の事務などサービスは多岐にわたる。契約内容は複雑になりがちで、料金相場が分かりやすく共有されているとも言えない一方で、事業者を直接的に規律・監督する法令、制度などは整備されていないのが現状だ。

総務省は今回、ネット検索や聞き取りなどで把握できた412事業者をリストアップ。協力を得られた204事業者を対象に調査を実施した

事業者に課題を聞いた結果をみると、


◯ 認知度が低く、事業自体への信頼が醸成されていない


◯ 参入障壁が低いため、ずさんな事業者が増加するリスクがある


◯ サービスの内容・料金体系がバラバラで事業者間の比較が困難


といった声があがっていた。国への要望では、「ケアマネジャーや地域包括支援センターとの連携・協働の仕組み」「最低限実施すべきことを示したガイドラインの策定」などを望む意見が出ていた。


こうした総務省の報告を踏まえ、厚労省は実態をより詳細に把握するための調査を実施する方針を示した。


加藤勝信厚労相は8日の会見で、「実態把握や課題の整理などを調査研究事業を通じて進める」と表明。必要なルールの整備などにつなげていく構えをみせ、「今年度中の早い段階で結果を取りまとめて公表したい」と述べた。

提供元:介護のニュースサイトJoint

ニュースの最新記事