「良い人たちだったよ」 無邪気に笑う母
母は昔のことはよく覚えていて、同じ話を何回もするのですが、短期記憶が低下しおり、毎日通っている私たちが来たこともすぐに忘れてしまいます。
今回は、不用品買い取り業者が帰ったすぐ後に兄が来たので覚えていたらしく、うれしそうにもらった2,000円を見せてくれたそうです。もう少し行くのが遅れていたら母は何も覚えておらず、何があったか私たちにはわからなかったと思います。
母が覚えていなければ、私の結婚指輪もまさか業者に渡っているとは考えないので、なくしたと思い警察に電話することはありませんでした。母の持ち物はほとんど把握していますが、警察に「その指輪はいつまでありましたか?」と聞かれたら答えられません。 今回、私の結婚指輪もなくなったので、自信を持って警察に相談できました。母の指輪だけだったら、母が自分でなくしたかもしれないので、110番はできなかったと思います。
また、業者もお年寄り相手の話がじょうずらしく、母は感じの良いお兄ちゃんたちだったと言っていました。高齢者自身が犯罪に巻き込まれていると自覚していないことも多く、周囲も気付きづらいかもしれません。早い段階でわかったのは幸運でした。
まとめ
まさか私の留守中に、知らない人が母のいる部屋まで庭を横切って来るとは想像していませんでした。24時間母のそばについているわけにはいきませんし、私が持ち物をすべて管理するのもためらわれます。
高価な品ではなくても母にとって大切な思い出の品であり、本人の財産でもありますから。ただ、高齢者が巻き込まれる事件が頻発しているのも事実。高齢者の持ち物管理はなかなか難しい面もありますが、今回の経験を踏まえ、一層注意して母の介護を続けたいと思っています。
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文/ころふじ
イラスト/きびのあやとら