がんや臓器不全などの末期で心身の状態が急激に悪化する恐れのある高齢者らに対し、介護サービスを速やかに提供し始めるためにどんな制度が使えるのか − 。こうした考え方を分かりやすく整理した通知を、厚生労働省が5月31日に発出した。
介護保険最新情報のVol.1266で広く周知している。
《 介護保険最新情報Vol.1266 》
例えば要介護認定。厚労省は通知に、入院している末期がん患者らが申請を行った場合の認定調査について、「保険者の判断で、必要に応じてオンラインで実施して差し支えない」と明記した。その際の留意点として、
◯ 認定調査に一定の知見を有する医師・看護師などが同席し、認定調査員の指示・指導のもと、申請者の麻痺の状況を確認するなど適切に関与することで、個別の認定調査項目の選択を適切に行う
◯ 認定調査員が、再度の対面調査が不要であると判断する
◯ 介護認定審査会が把握できるよう、申請者が入院する医療機関の医師・看護師の関与を得て、オンラインのみで認定調査を実施したことを特記事項に記載する
を提示した。
厚労省は2021年1月に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う特例としてこうした取り扱いを容認していた経緯がある。
今回の通知ではこのほか、末期がん患者らの主治医意見書の簡易な作成も認めると説明。「保険者の判断で必要があると認めた場合、様式に定められた項目のうち、傷病名、一次判定に必要な項目(*)、特記すべき事項などに限定したものを受理しても差し支えない」とした。
* 一次判定に必要な項目=認知症高齢者の日常生活自立度、短期記憶、日常の意思決定を行うための認知能力、自分の意思の伝達能力、食事行為など。
また、暫定ケアプランを作成・更新する居宅介護支援事業所への支援にも言及。認定調査の結果や一次判定ソフトによる一次判定の結果を、参考として活かせるよう速やかに共有することなどを呼びかけた。
提供元:介護のニュースサイトJoint