病院施設を経て介護老人保健施設(老健)に入居された要介護4のおじいさま。家族の負担は軽減されたけれど、入所後に弱っていく姿を見るのは家族としてとてもつらかったとK.S.さんは言います。
事情が許すのであればできるだけ早い時期に介護施設入居を考えるべき
【プロフィール】
<入居者>祖父
<施設種類>介護老人保健施設(老健)
<入居年齢>80代以上
<介護度>要介護4
<入居期間>2000年7月〜2003年9月
<居住地域>鳥取県
<話を聞いたかた>孫
入居者との関係
幼い頃からかわいがってくれていた母方の祖父です。私も自宅にいたときは介護していました。
医療的ケア・疾患、症状など
胃ろうと痰吸引がありました。体調不良で入院をして、その後自宅療養していた。徐々に認知度と自立度が落ちていってやがて再入院。結果的に施設に入所することになりました。
入居を決めた時期と理由
足腰が立たなくなり、自分でトイレに行けなくなりました。また、体調不良を繰り返すようになり、肺炎で入院しました。
その後、介護度が上がったので、病院のケアワーカーと相談のうえで介護老人保健施設を探してもらうことになりました。入院中に認知が進み、見舞いに来る親族が誰なのかもわからなくなっていきました。私のことは最後まで認識してくれていましたが、叔母(叔父の奥さん)などは理解できていないようでした。
食事も自分では取れなくなったり、突然怒り出したりするようになり、施設に入所することになりました。
施設の探し方
詳細は伯父とケアワーカー、病院の看護師の間で話し合いが行われたので定かではありませんが、近隣の施設の中からできるだけ早く入所できる施設を探していたようです。
老健に空きが出るまでは、入院していた病院が運営している施設に入りました。手続きは全て伯父が行いました。
入居の手続き、ステップ
詳細は伯父が取り仕切っていたので詳しくはわかりませんが、まず病院の看護師と医師から祖父の病気について説明を受けました。
すでに回復がかなり難しいこと、家族の負担についてなどの話し合いを経て、施設を探すことになりました。
身内には医療について知識をもっている人間がいなかったので、一時が万事、病院任せになっていたようです。その後、費用に関して相談、使える保険などの確認をしました。金銭的な問題はそれで解決できたと聞いています。
入居して良かったこと
正直なところ、入所したことが本当に良かったどうかはわかりません。
祖母の健康維持という面では確かに負担を軽くすることはできたと思います。
入居して大変だったこと
足腰が弱った祖父は寝たきりになって結果として回復することはなかったので、判断は非常に難しいです。自宅で介護するには、知識のない自分たち家族には限界があると思います。
しかし、入所したことで死期が早まったのではないかという疑問も実は未だに残っています。健康だった人が、徐々にやせ細って言葉もなくっていくのを見るのは家族としてはとてもつらかったです。
認知症が進んだ祖父は暴言を吐くようになり、おむつ交換に来ていた介護士のかたに抵抗するようになってしまいました。その時期はそれほど長くなく、徐々に体力が落ちて死に向かっていきましたが、その間、同部屋の入所者の人とトラブルになったり介護士に手を上げそうになったりもしていました。
そばで見守っていた祖母や叔母の苦労は並大抵のものではありませんでした。
そして、そうしたトラブルを起こさなくなっていくにつれて、怒鳴るような力も失われていき、結果としてそれも家族はつらく思っていました。
入居を検討しているかたへのアドバイス
自宅で介護することは絶対に勧めません。特に、身内だからといって血のつながらない人に世話をさせることはしてはいけないと思います。
介護はプロの仕事であって、素人にできることではありません。本人のことよりも、世話をする家族が疲弊してぼろぼろになってしまいます。
費用と時期が折り合うのであれば、できるだけ早く施設に入所させることをお勧めします。しかし、それでもあとから後悔が残ることもあります。生き死にの必然だと思って受け入れなくてはいけないのかもしれません。
※入居時点の情報であり、あくまでも個人の感想です。
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