『シニア向け分譲マンション』って誰でも買えるの!?【介護1年生の編集者が調べてみたVol10〜】
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『シニア向け分譲マンション』って誰でも買えるの!?

介護についてまだまだ知らないことがいっぱいの介護カレンダー編集部員の私。もっともっと「介護」や「高齢者施設」について勉強して、わかりやすい情報をお届けしようと、ただいま、勉強中です。

最近、耳にすることが増えた「シニア向け分譲マンション」。普通のマンションや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅とどう違うのか? 

高齢者向けの住宅の種類が増えるのは良いことですけれど、その違いを理解するのはとても難しいです。

シニア向け分譲マンションとは

ということで今回は「シニア向け分譲マンション」について勉強してみようと思います。

Q.「シニア向け分譲マンション」の特徴は?

「シニア向け分譲マンション」は、その名前の通り、高齢者向けに特化した分譲マンションで、民間事業者が販売・運営している不動産です。「サービス付き高齢者向け住宅」と同じく、「高齢者住宅」に分類され、特別養護老人ホーム(特養)や介護付き有料老人ホームといった、老人福祉法や介護保険法で規定される「施設」とは異なります。

高齢者向けの住宅ということで、段差をなくしたり、手すりをつけたり、ドアを引き戸にしたりなど、バリアフリーの設備が施されているほか、マンション内にジムや共同の大浴場、図書館などが併設されている物件も多いようです。

また、ハードだけでなく、さまざまなサークル活動が催されるなどのソフトも充実していて、高齢者が楽しく過ごせるような工夫が見られます。さらに、常駐の管理人やコンシェルジュによる緊急時対応や、有料にはなりますが、食事や掃除・洗濯等の家事代行サービスが提供されるマンションもあるようです。

普通の分譲マンションは、高齢を理由に購入を断られることもあると聞きますが、こちらはシニア向けと謳っているだけあって、基本的に年齢制限はありません。ただし、要介護度が重い場合は購入できなかったり、要介護度が進むと入居後であっても退去を余儀なくされたりするケースも……。

さらに、マンションによっては独自の入所基準を設け、特定疾病の罹患者や、身元引受人がいない場合などは断られることもあるようです。基本的には、富裕層の元気なシニア向けの住宅、と考えていた方がよさそうですね。

Q.「介護サービス」は受けられるの?

「シニア向け分譲マンション」ということで、やはり気になるのは介護サービス。

基本的には自分で外部の訪問介護事業者と契約して、介護サービスを受けることになります。ただ、事業者を紹介してくれることもありますし、マンション自体に訪問介護事業所が併設されてケースもあるので、自分で事業者を探さなくても介護サービスを依頼できるケースが多いようです。

実際に介護サービスを受けることになれば、介護保険の自己負担金は自分で支払う必要がありますから、要介護度によってはその費用が高額になってしまうことも考えられますから、
入居前に介護が必要になった場合の予算などもしっかり調べ、考えておくことが大切ですね。

また、昼は看護師、夜はヘルパーが常勤してたり、要介護度が重くなってしまったときに、介護付きの「高齢者向け施設」への転居をサポートしてくれたりする「シニア向け分譲マンション」もあるようです。

Q.気になる購入金額は?

「シニア向け分譲マンション」の購入費は500万円から数億円と、かなり幅がありますが、そのほとんどが1,000万円以上とかなり高額です。

さらに、毎月生活費と管理費や修繕積立金などが計10~30万円程度かかる上、固定資産税を支払う必要もあります。食事や家事代行、介護サービスなどを使えば、さらに費用がかかります。

●参考(編集部調べ)

case1
築30年弱の千葉県の物件。約80平米の部屋で入居時費用(購入費用)が500万円超、月額費用は10万円弱。

case2
築20年弱の東京都内の物件。約60平米の部屋で入居時費用(購入費用)が2,800万円超、月額費用は約17万円。

case3
築15年の兵庫県の物件。70平米超の部屋で入居時費用(購入費用)が約7,000万円、月額費用は約7万円。

なお、購入にはローンも使えますし、子どもとの共有名義での購入OKというところもあります。また、一度購入してしまえば、売却や賃貸、リフォームなども自由に行えますし、亡くなった後は相続財産となりますが、すぐに売却できなかったり、値下がりしたりする可能性もあることがネックとなりそうです。

それに、近年どんどん棟数を増やしているとはいえ、首都圏や京阪神エリアのマンションがほとんどで、実際に購入するとなると少しハードルが高いかもしれません。

1)「シニア向け分譲マンション」は民間事業者が販売・運営している不動産
2)バリアフリーが整っているだけでなく、ジムや温泉などのハード、さまざまなサークル活動などのソフトの充実
3)介護サービスは、外部の訪問介護事業者と契約する
4)要介護度が高くなると介護保険の自己負担金が高額になってしまう可能性も
5)購入費の他に、毎月生活費や管理費、修繕積立金を支払う
6)「シニア向け分譲マンション」は不動産なので、リフォームや賃貸、売却も。
7)「シニア向け分譲マンション」は不動産なので固定資産税が発生する

まとめ

「シニア向け分譲マンション」は、「少し生活に不安が出てきたけれど、まだ高齢者向けの施設に入るほどではない」、「シニアライフを元気に楽しく過ごしたい」という高齢者向けの住宅ということがわかりました。

また、サービスが充実したマンションも多く、元気なうちは安心して入居できそうだなとも思いましたが、まだまだ棟数が少ないのと、やはり費用がかなり高額なので、選択肢に加えられる人は限られてしまうのかな、というのも正直な感想です。

そして、選択肢を増やすためには、さまざまな高齢者施設の特徴や実情をよく知っておくことが大切だと改めて思いました。

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