「親の家を片づけたい」と思ったら、してほしい4つのこと

「親の家を片づけたい」と思ったら、してほしい4つのこと
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介護体験や思いなど、さまざまな立場の人の介護にまつわるコラムをお届けします。

初めまして。シニア生活環境オーガナイザーⓇの仲野寿代です。

今、このページを見ているあなたは、「親の家を片づけたい」もしくは「親の家を片づける前に、何か知っておきたい」と思っているのではないでしょうか?

もしそうなら、自分の反省も込めて「ちょっと待って!」と言いたいです。

なぜなら、子どもの「親の家を片づけたい」という前のめりの思いが強いと、親とケンカになるからです。

片づけたい子どもと、いまの暮らしで特に困っていない(と思っている)親。

一方的に片づけようと言っても、すぐには「そうだね」と受け入れてもらえないかもしれません。

では、どうしたらいいのでしょう?

1.自分の物を片づける

自分の実家のゴチャゴチャを片づけたいと思っているなら、まず自分の持ち物が実家にないか思い出してください。家の中だけでなく、物置も! です。

もし自分の物があったら、それを片づけることから始めましょう。

一度に全ての物を部屋から出せなくても、箱詰めして部屋の一角にまとめておくなど、自分の都合に合わせて進めてください。

懐かしいものが出てくることで、捨てることの難しさを感じられるというメリットもあります。

また、何も言わずに片づけているあなたの姿を見るだけで、親は家の中に意識が向く可能性もあります。

片づけの話も自然に出てくることがありますが、このとき、「お母さんも片づけて!」とか「お父さんのアレ、使ってないなら捨てれば?」という言葉はNG、使わないでくださいね。

ただ、自分の物を片づけることに徹するが基本です。

コロナ過でなかなか帰省できない方は、「今度、帰ったとき、自分の部屋を片づけるからね」と言うだけでも、「片づけ」というキーワードが親の頭に入るのでおすすめです。

まずは、自分の部屋を片づけることで、ふんわり親とコミュニケーションを始めるのが、親の家をトラブルなく整理する第一歩です。

2.親の困りごとを聞く

親の家に「自分の持ち物はないよ」という方は、親がいま困っていること、不便に感じていること、気になっているけど自分では出来ないことを聞いてみてください。

たとえば、こんなことが出てくるかもしれません。

・吊戸棚に手が届かなくなって出すのをあきらめていた物を取ってほしい
・はちみつのフタが開かないから、開けてほしい 
・掃除機をかけるのがおっくうで、自動掃除機が気になっている などなど

すぐ困りごとが出てこないこともあるかもしれませんが、不便に慣れて気づかないだけかもしれません。 そんなときは、「このままでいいのかな?」と、しつこくない程度に声をかけてみるのもありです。

私が親からよく頼まれたのは、換気扇カバーの付け替えや電球、時計の電池交換です。

3.家の中に危ない場所や物はないか

「高齢者の事故は家の中で多く起きている」と聞いたことはありませんか?

なかでも転倒・転落が多いようです。

キッチンマットは滑りやすくないか、床に新聞紙などを置きっぱなしにするクセはないか、動線上にコード類はないか、階段は明るく滑り止めが付いているかなど、チェックしながら親とコミュニケーションを取ってみてください。

4.親の大切な物を知る

前述の2で親の困りごとを解消できたら、あなたの信頼度はグッとアップ。

なぜなら、そこに「私(親)の言ったことを受け入れてくれた」という満足感や肯定感が生まれるからです。

ここで、もう少し信頼関係を築くため、聞いてみてほしいことがあります。

それは、親の大切なもの、捨てたくないもの、好きなもの、思い出のものなどです。

いきなりは聞きにくいかもしれないので、プレゼントされた物などを見ながら、「(知っていても)これ誰からもらったの? 気に入ってる? 大事なもの?」など、話の流れで聞けるといいと思います。

まずは親の話を聞いて、その気持ちを汲むことから

ここまで読むと、片づけまでなかなかたどり着けない! と思われるかもしれません。

でも、この工程を飛ばすと、「片づけする、しない」で、しなくていいケンカになりがち。

世界で最も大きな影響力を持つ経営コンサルタントといわれるスティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」の5つ目には「まず理解に徹し、そして理解される」とあります。

自分の話を聞いてほしいと思ったら、まず相手の話を聞いて、気持ちを汲むことから始めてみてください。

以前の私は、親の家に行くとき、「ここはこうして、あそこはこうして」と勝手にプランを考えていました。そして、「こうなったら気持ちいいな~」と思ったとき、ハッと気づきました。

「自分が満足したくて、片づけに行くんだ」ということに。

そこには親の気持ちは1ミリも入っていませんでした。当然、いい顔はされませんでしたし、「そこはいい」と言われることもしばしばでした。

<まとめ>

子どもは親の家を片づけたがるものなので、あなたが今やりたいと思っていることは、親が本当に望んでいることなのか、考える余裕をもってほしいと思います。

困っていることを聞いたり、危ない場所を確認したり、大切な物を知ったりすることに、物の移動はありません。ですが、心が動きます。

親にまだ片づける気がないなら、「何か困ったことがあったら、いつでも言ってね」と、いつでも力になれるということを伝えてください。

そして片づけたい気持ちが出てきたようなら、「一緒にやったら、体力も時間もかからないよ。終わったら、何かおいしいものでも食べに行こう」と声をかけてみてください。

ケンカしないで片づけが済むように、私も願っています

<プロフィール>仲野寿代(なかのひさよ)
北海道北見市在住。ライフオーガナイザーⓇ  片づけに悩む50代以降の女性をサポートしています。

※シニア生活環境オーガナイザーⓇ 一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会が認定した資格で、シニア層のクライアントに対して、生活環境を良好に保つためのサポートする技術を持ち、クライアントに合った適切な各種サービスおよび専門家と連携した支援を行える知識を持つプロです(協会HPより)。

オーガナイズサービスMORE主催 https://organize-service-more.hp.peraichi.com/
ブログ: 自分がよろこぶ片づけ術 https://ameblo.jp/simple-organizing

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