老人ホームの相談事例<高齢者は連帯保証人や身元引受人になれない!?>【老人ホームの選び方 vol19】
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千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。

こんにちは!千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長の石田です。

老人ホーム探しは難しいものです。なぜなら、人によって老人ホームに入る年齢も、要介護度も生活様式も趣味嗜好も、そして老人ホームにかけられるお金も違うからです。

しかも、希望の老人ホームが見つかったとしても、入所後に想定外のトラブルや困りごとが発生する可能性もあるのが難しいところ。

「老人ホームの選び方」では、私が過去にお受けした実際の相談事例を紹介しながら、注意すべき点を考えていきたいと思います。

ぜひ参考になさってください。

1.高齢者は連帯保証人や身元引受人になれない!?

1-1 入所対象者の状況

<性別>女性

<年齢>87歳

<介護保険>要介護4

<認知症>あり(入院後、見当識障害あり)

<必要な医療行為>なし

<既往症>ネフローゼ症候群、シェグレーン症候群

1-2 相談内容

入居対象は87歳女性で89歳のご主人と二人暮らし。シェーグレン症候群(※)等の既往があるとのことで、むくみがひどくなり、歩行が困難となったため、精査、治療目的で入院されました。入院後には、ADL (日常生活動作)の低下も見られ、高齢のご主人との二人暮らしのなかでの在宅復帰は難しいと、県外に住む姪御さまからの勧めもあり、老人ホームへの入居を検討することになりました。

相談を受けた病院のソーシャルワーカーが、数箇所の老人ホームパンフレットを渡しましたが、高齢なご主人が探すのは困難であること、また見学時の送迎や同行、また身元保証会社の手配などが必要となることから、当社への相談となりました。

なお希望は、自宅からできる限り近いこと、奥様に難病の既往があるため看護師が24時間常駐するなど医療体制が整っていること、月額費用は30万円くらいまでで将来は夫婦で入所可能な施設。身元保証人の手配や自宅の売却、老人ホーム見学時の送迎などのサポートも含めトータルでサポートしてほしいとのことです。

(※シェーグレン症候群 出典:難病情報センター)

1-3 私の対応

まずはご主人とお話ししました。

その際に、老人ホームに入所する際に身元保証人が必要なこと、身元保証人は金銭面での連帯保証だけでなく、緊急時の連絡先や入院時の手続き、亡くなった際の身柄、私物・遺留品の引き取り等が必要な旨、説明しました。

ご主人は高齢なため、身元引受人としての役割を果たすことに不安をおもちのようでしたので、他に頼れるご親族がいないかお聞きしました。県外に姪御さんがいるとのことでしたのでご連絡しましたが、協力はしたいが足が不自由なため難しいとのお話でした。

姪御さまと相談し、当社で連携する身元保証会社を利用、提出書類などは当社が説明しながらご主人にご用意いただきました。

また施設見学の際は、当社がご主人様を送迎しました。入所決定後の持ち込む家具や衣類、備品の準備などは、身元保証会社の生活支援スタッフにサポートしてもらいました。見学にお連れしたのは以下の3つの老人ホームです。

  1. 医療母体が医療法人の介護付き有料老人ホーム。介護付きでありながら、自立のかたの入所も可能、またご夫婦部屋もあるため、ご夫婦での入所も多い。自宅から車で10分程度。
  2. 運営母体の病院が隣接している介護付き有料老人ホーム。訪問診療のドクターが日中は常駐するなど、医療体制に定評がある。
  3. 看護師および訪問看護事業所の看護師が24時間常駐している住宅型老人ホーム。要介護以上が入居要件だが、夫婦で入所する場合は要支援も可。

上記3施設のなかから、先々ご主人が入所することも考え、自立のかたや夫婦での入所が多い点が決め手となり、<1>の介護付き有料老人ホームへ申し込まれました。

後日、ご主人様より、「ホーム入所後は、食事を全量食べられているようで安心した。自分も90歳の誕生日が来たら、同じ老人ホームに入所したい」とおっしゃっていました。

1-4 今回の事例のポイント

・ほとんどの老人ホームでは身元保証人が必要となる。その場合、連帯保証人としての役割よりも身元引受人として動けるかどうかで判断されることが多く、高齢者の場合、身元保証人になれないケースもある
・親族で身元保証人を立てられない場合、民間の保証会社を利用することも可能。保証会社によって料金やサポート内容は異なるので、事前に確認が必要
・老人ホームの見学時に自宅から老人ホームまでの送迎をしてくれる場合がある

2.まとめ

いかがでしたでしょうか?

高齢者向け施設に入居する際は、連帯保証人、身元保証人が必要なケースがあります。しかし、高齢になるとそれらになれない場合もありますので、その点も踏まえて、施設や老人ホーム紹介所に相談してみると良いでしょう。

次回も、実際の老人ホームの相談事例を基に解説します。

老人ホームの選び方(介護カレンダー)

記事提供:石田治男
千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス 所長
入居相談員 / 老人ホームアドバイザー

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