<FPと考える>バリアフリーリフォームで固定資産税が減額される制度があります
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介護体験や思いなど、さまざまな立場の人の介護にまつわるコラムをお届けします。

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの前佛(ぜんぶつ)です。私は家計改善のアドバイスのほか、整理収納アドバイザー1級を取得し、暮らし全体の整え方もお伝えしています。介護カレンダーでは親の介護をはじめ、将来介護が必要になったときに役に立つ情報をお伝えしながら、介護にまつわる大切なことを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

高齢者や障がいのある人の住む家を、日常生活が送りやすくなるように一定のバリアフリーリフォームを行うと、固定資産税が減額されることをご存じですか?どのような内容の工事をすれば固定資産税が減額されるのか、また減額を受けるための要件などをわかりやすく解説します。

■バリアフリーリフォームで固定資産税が減額される制度をチェック!

新築してから10年以上経った家屋に対し、一定のバリアフリーリフォーム(バリアフリー改修工事)を行うと、1戸当たりの床面積100平方メートルまでを限度に、翌年分の家屋にかかる固定資産税額の3分の1が減額される制度があります。これは「バリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」と呼ばれるもので、各自治体のホームページなどで詳細が紹介されています。

これは当初、期限が2022年3月31日までとなっていましたが、2022年度税制改正で2年間延長されることになったのです。【2024年3月31日】までに完了するバリアフリーリフォームが対象となります。

■対象となるバリアフリーリフォームの内容は?

この減額措置の「一定のバリアフリーリフォーム」とは、次の8つの改修工事です。また、工事費用の自己負担分が税込50万円を超えるものが対象となります。この50万円超とは、介護保険からの給付金などを差し引いた後の金額なのでご注意ください。

(1)介助用車イスで移動しやすくなるよう廊下などを拡張する工事
(2)階段の設置、または勾配を緩和するための工事
(3)浴室の床、浴槽、固定式の移乗台、水栓器具などを設置したり取り替えたりする工事
(4)洋式便器への取り替えやトイレの床面積の拡張工事
(5)手すりの設置工事
(6)段差を解消する工事
(7)出入り口を引き戸などに取り替える工事
(8)床材を滑りにくいものに取り替える工事

■減額措置の2つの要件と注意点を確認しておこう

この減額措置には、「居住者の要件」と「家屋の要件」が設けられています。ここでは、要件の内容や注意点をご紹介します。

□居住者の要件
減額措置を受ける家には、以下の3つの要件に該当する人が住んでいる必要があります。
・65歳以上の人
・要介護・要支援認定を受けている人
・障がいのある人(療育手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っている人)

□家屋の要件
減額措置の対象となる家屋は、次の要件に合うものです。
・新築してから10年以上経っていること
・工事後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること
・店舗併用住宅の場合は、居住部分の床面積が2分の1以上あること

□減額措置の注意点
この減額措置には以下のような注意点があるので、確認しておいてください。
・対象のバリアフリーリフォームは、費用の自己負担分が税込50万円を超えること
・介護保険の住宅改修による給付金を受けた分は、工事費用から差し引いたうえで50万円超となること
 (たとえば介護保険の負担割合が1割なら、9割は給付金を受けていることになります)
・2024年3月31日までに工事が完了すること
・都市計画税は対象外
・減額は家屋が対象で、土地の固定資産税は対象外
・賃貸住宅は対象外

■固定資産税の減額措置はどうやって手続きするの?

バリアフリーリフォームが完了したら、工事完了日から3カ月以内に必要書類を揃えて、家屋のある市区町村に申請します。

□固定資産税の減額措置に必要な書類
・固定資産税減額申請書
・工事費用が確認できる書類(領収書など)
・納税義務者の住民票の写し
・適用対象者の証明書(介護保険被保険者証など)
・補助金や給付金等の額がわかる書類(介護給付費などの支給決定通知書)
・バリアフリーリフォームの内容が確認できる写真や工事明細書など

手続きに関する詳細は、家屋のある自治体のホームページで確認してくださいね。

■まとめ

新築後10年経った家屋に一定のバリアフリーリフォームを行うと、家屋の床面積100平方メートルを限度に、翌年分の固定資産税額の3分の1が減額されます。ただ、この減額措置には居住者や家屋の要件があるので確認しておきましょう。また、減額対象となるのは自己負担分が税込50万円超になる工事です。このとき、介護保険による住宅改修の給付金やリフォームの補助金などは差し引き、そのうえで自己負担した分が50万円超になる必要があります。さらに減額措置には期限があり、2024年3月31日までに完了するバリアフリーリフォームが対象となります。申請は工事完了後3カ月以内となっていますので、必要書類を確認し、すみやかに申請できるようにしておきましょう。固定資産税減額申請書は各自治体のホームページからダウンロードできますのでご活用くださいね。

<プロフィール>前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)/ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 整理収納アドバイザー1級 / 自分史活用アドバイザー
『安心と心のゆとりのある暮らしができる人を増やしていく』という理念のもと、1人でも多くの人に安心できる暮らしと心の余裕を手に入れていただこうと、家計見直しやライフプランなどの相談業務を行う。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。また、離れて暮らす母の介護に関わった経験を活かし、遠距離介護などの相談も受ける。保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナーとして活動中。
ホームページ:家計コンサルティングZEN

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