<FPと考える>住む自治体によって介護保険料が変わるって本当!?

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの前佛(ぜんぶつ)です。私は家計改善のアドバイスのほか、整理収納アドバイザー1級を取得し、暮らし全体の整え方もお伝えしています。介護カレンダーでは親の介護をはじめ、将来介護が必要になったときに役に立つ情報をお伝えしながら、介護にまつわる大切なことを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

40歳になると誰もが加入する介護保険ですが、介護保険料は住む自治体によって金額が異なるのをご存じですか?公的介護保険の保険料は3年ごとに見直されますが、保険料額は全国一律ではなく、自治体ごとの介護サービスの利用状況などによって異なるのです。今回は、介護保険料の決まり方や保険料額が異なる理由を解説します。


■介護保険料の決まり方


ここでは、介護保険の第1号被保険者である65歳以上の人が納める介護保険料の決まり方を解説します。

公的介護保険の財源は、公費(税金)50%、第1号被保険者(65才以上)が納める保険料23%、第2号被保険者(40歳~64歳)が納める保険料27%から賄われています。
これを踏まえて、自治体は3年ごとに計画する介護保険事業計画に基づき、65歳以上の介護サービス費用の見込額をもとに「基準額」を算出しています。

介護保険料の基準額
=(介護サービス費用として必要になる金額×23%)÷65歳以上の人口

上記で算出した基準額に、個人の所得と世帯の住民税課税状況によって決められた保険料率を掛けたものが介護保険料額になります。つまり、自分の住む自治体の基準額が介護保険料額を左右するということです。

■自治体ごとに介護保険料が異なる理由とは

65歳以上の人が納める介護保険料の基準額は、介護サービス費用の見込額と65歳以上の人口によって決まります。そのため、高齢化が進み介護サービスを必要とする人が多い地域では、保険料が高くなるのです。反対に、介護保険料が低いところは、人口が少ないうえに介護サービスを必要とする人も少ない地域であるといえるでしょう。つまり、地域によって介護サービスの必要性や65歳以上の人口が異なるので、自治体によって介護保険料額が変わってくるのです。


高齢になると体力が衰え、病気やケガをしやすくなり、認知症の発症リスクが増える傾向にあります。そのため、日常生活では介護を必要とする人が増えていきます。そんなことから、高齢化が進む地域は、要介護状態の人も多くなり、介護保険料の基準額が高くなると考えられます。


■介護保険料の高い自治体・低い自治体ベスト3

2000年から始まった介護保険制度ですが、現在は第8期で(2021年~2023年)、介護保険料の基準額は、全国平均が月額6,014円になっています。自治体によっては、この平均額よりもはるかに高い自治体もあれば、低い自治体もあります。

では、保険料が高い自治体と低い自治体では、どれくらい保険料額が異なるのでしょうか?
第8期(2021年~2023年)における介護保険料基準額の高い自治体と低い自治体を見てみましょう。

まずは、介護保険料の基準額が高い自治体ベスト3をご紹介します。

順位都道府県 市町村介護保険料の基準額
1位東京都青ヶ島村9,800円
2位秋田県五城目町8,300円
3位福島県葛尾村8,200円

続いて、介護保険料の基準額が低い自治体ベスト3をご紹介します。

順位都道府県市町村介護保険料の基準額
1位北海道音威子府村3,300円
1位群馬県草津町3,300円
3位東京都小笠原村3,374円
出典:厚生労働省「第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について」より

基準額が最も高い東京都青ヶ島村は9,800円ですが、最も低い北海道音威子府村と群馬県草津町の3,300円とは6,500円も保険料額に差が生じています。介護保険料が高い自治体は人口に対する高齢化率が高く、保険料額が少ない自治体は人口が少なく高齢化率も低くなっています。


介護保険料は40歳以降、生涯払い続けるものです。家計の出費に関わるものなので、自分の住む自治体の要介護や高齢化の状況には留意しておくとよいでしょう。

■まとめ


自治体によって65歳以上の人が納める介護保険料が変わるのは、介護サービスの利用状況や65歳以上の人口によって決められた基準額が異なるからです。高齢化が進み、65歳以上の人口が多い地域は、介護保険料の基準額が高くなるため、納める保険料も高くなります。自分の住む地域の高齢化に目を向けると介護保険料の傾向が見えてくるので、チェックしてみるとよいでしょう。

<プロフィール>前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)/ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 整理収納アドバイザー1級 / 自分史活用アドバイザー
『安心と心のゆとりのある暮らしができる人を増やしていく』という理念のもと、1人でも多くの人に安心できる暮らしと心の余裕を手に入れていただこうと、家計見直しやライフプランなどの相談業務を行う。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。また、離れて暮らす母の介護に関わった経験を活かし、遠距離介護などの相談も受ける。保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナーとして活動中。
ホームページ:家計コンサルティングZEN

オリジナルコラムの最新記事