<FPと考える>「買うのは待って!」介護アイテムの出費を抑えるコツと注意点とは?
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介護体験や思いなど、さまざまな立場の人の介護にまつわるコラムをお届けします。

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの前佛(ぜんぶつ)です。私は家計改善のアドバイスのほか、整理収納アドバイザー1級を取得し、暮らし全体の整え方もお伝えしています。介護カレンダーでは親の介護をはじめ、将来介護が必要になったときに役に立つ情報をお伝えしながら、介護にまつわる大切なことを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

まだ元気な親も高齢になると、いつかは介護が必要になるかもしれません。親が要介護状態になったら、介護用品を買い揃えるのにお金がかかりそうで心配になりますよね。でもご安心ください。介護用品はレンタルできるんです。そこで今回は、介護用品のレンタルについて、わかりやすく解説します。

介護用品をレンタルすれば費用を抑えられる

親の介護は突然やってきます。そうなったとき介護用品を買い揃えると、かなりの出費になって家計を圧迫するかもしれません。でも、介護用品をレンタルすれば、購入するよりも費用を抑えることができます。

筆者の母親は、ある日急に歩けなくなったと連絡があり、そのまま要介護3の状態になりました。介護用品は何も持っておらず最初は困りましたが、ケアマネージャーに介護用品はレンタルできることを教えてもらったのです。そのおかげで、初期費用をかけずに介護ベッドや車イス、スロープなどを準備することができました。費用面を考えると、介護用品はレンタルで準備するのがお勧めです。

■介護保険を使ってお得にレンタル

介護用品はレンタルできるとお伝えしましたが、介護が長引くとレンタル料が家計の負担になるかもしれません。けれども、レンタル料の負担を抑えることはできます。介護保険を使えば、レンタル料が1割~3割負担で済むのです。

親に介護が必要になったとき、要介護認定を受けますね。その後、要介護度に合わせてケアマネージャーがケアプランを作成してくれるのですが、そのときに介護用品のレンタルを希望すると、介護保険サービスの負担割合(所得に応じて1割・2割・3割)で借りることができます。

ただし、介護保険を使ったレンタルには注意点があります。それは、要介護度によってはレンタルできないものがあることです。

介護保険でレンタルできるものは以下の通りです。

車イス(付属品付き)・介護ベッド(付属品付き)・床ずれ防止用具・体位変換器・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえ・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置

原則として、要介護2~5であれば、上記のものはレンタルできます。レンタル料も負担割合分のみとなるため、お得に借りることができます。

しかし、要支援1・2、要介護1の場合は、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえしか借りることができません。たとえば、要介護1で車イスを借りると、レンタル料は全額自己負担になるのです。ただし、要支援1・2、要介護1の場合でも、病気などで身体の状態がよくないときは、例外として介護保険を使ったレンタルが認められる場合があります。もし該当するときは、役所の介護担当窓口やケアマネージャーに相談してください。

■介護用品レンタルのメリット・デメリット

介護用品はレンタルするとお得に利用できますが、実はメリットばかりではなくデメリットもあるのです。そこでレンタルのメリット・デメリットをご紹介します。

●介護用品をレンタルするメリットは?

介護用品のレンタルには、次のようなメリットがあります。
・費用を抑えられる
・要介護度が上がると身体の状態にあわせた用具に変えることができる
・利用後は返却するので、置き場所に困らない
・メンテナンスが受けられる

最も大きなメリットは、やはり費用が抑えられる点です。初期費用がかからず、介護保険を利用すればレンタル料がさらに抑えられる点は見逃せないですね。

●介護用品をレンタルするデメリットは?

介護用品のレンタルでは、次のようなデメリットがある点も押さえておきたいです。
・用具のキズや汚れ、破損に注意して使用しなければならない
・新品を使用することはできない
・レンタル業者の利用規約を守る必要がある
・介護が長引くと、購入の方が安くなる場合がある

介護用品をレンタルする場合は、キズや破損に注意しながら使用しなければいけない点は気疲れするかもしれません。けれども、通常の使用による故障や破損は無償で交換や修理をしてくれます。ただし、故意の破損や過失による場合は別途費用が必要になるので注意したいです。

■まとめ

介護用品は購入するよりもレンタルした方が費用を抑えることができます。また、介護保険を利用したレンタルは、レンタル料が介護保険サービスの負担割合と同じく1割~3割で利用できるのでお得です。

もし親の介護が必要になったときは、介護用品はレンタルすることをお勧めします。レンタルしたいときは、担当のケアマネージャーに相談してください。また、親がまだ要介護認定を受けていない場合は、実家の地域を担当する地域包括支援センターに相談することをお勧めします。地域包括支援センターは、高齢者の生活や介護に関する相談ができ、本人だけでなく家族でも相談に乗ってくれるので活用したいですね。

出典:生命保険文化センター「2021年度生命保険に関する全国実態調査」

<プロフィール>前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)/ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 整理収納アドバイザー1級 / 自分史活用アドバイザー
『安心と心のゆとりのある暮らしができる人を増やしていく』という理念のもと、1人でも多くの人に安心できる暮らしと心の余裕を手に入れていただこうと、家計見直しやライフプランなどの相談業務を行う。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。また、離れて暮らす母の介護に関わった経験を活かし、遠距離介護などの相談も受ける。保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナーとして活動中。
ホームページ:家計コンサルティングZEN

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