こんにちは。ファイナンシャルプランナーの前佛(ぜんぶつ)です。私は家計改善のアドバイスのほか、整理収納アドバイザー1級を取得し、暮らし全体の整え方もお伝えしています。介護カレンダーでは親の介護をはじめ、将来介護が必要になったときに役に立つ情報をお伝えしながら、介護にまつわる大切なことを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
高齢になると体力や身体機能の衰えを感じるようになり、日常生活でも支援を受けたいと考える人も少なくありません。いつまでも安心して生活できるよう、高齢者施設への入居を考える人もいるでしょう。そんなとき、選択肢の1つとして挙げられるのが「サービス付き高齢者向け住宅」です。これはどのような施設で、どんな人が入居できるのでしょうか?
今回はサービス付き高齢者向け住宅について、その概要と費用面や選ぶ際のポイントをご紹介します。
■サービス付き高齢者向け住宅とはどんな施設なの?
サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者が安心して生活できるようなサービスを提供する、バリアフリー完備の賃貸住宅です。利用者本人が事業者と普通建物賃貸借契約もしくは終身建物賃貸借契約を結びます。
サービス付き高齢者向け住宅には、大きく分けて2種類のタイプがあります。1つは自立した高齢者から軽度の要介護者が入居可能な一般型で、もう1つは要介護者を対象とした介護型です。基本的に、どのサービス付き高齢者向け住宅でも安否確認サービスと生活相談サービスを受けることができます。また、オプションで買い物代行や病院への付き添いなどの生活支援サービスや、緊急時対応サービスを受けられるところもあります。
ただし一般型の場合、介護保険サービスを受けたいときは、自分で外部の業者と契約する必要があります。介護型の場合は、施設内の常駐スタッフから介護サービスを受けることができます。
また、サービス付き高齢者向け住宅には、以下のような入居要件があります。
・60歳以上で、60歳未満の人は要介護認定を受けていること
・同居人は、配偶者、要介護認定を受けている親族、特別な理由により同居が必要であると知事が認めた者であること
一般型の場合、入居できるのは自立した高齢者や軽度の要介護認定を受けている人を対象としているため、要介護認定が上がったときは退去を求められることがあるかもしれません。
■サービス付き高齢者向け住宅ではどんな費用がかかる?
サービス付き高齢者向け住宅に入居する際は、次のような費用がかかります。
・初期費用(敷金、家賃の前払い金)
・月額費用(家賃、共益費、食費、水道光熱費、介護サービス利用料、生活支援サービス費)
敷金は家賃の2~3ヶ月分、家賃の前払い金は1~2ヶ月分が一般的です。ただサービス付き高齢者向け住宅では、一般の賃貸住宅で支払う礼金や更新料は必要ありません。
ここで、サービス付き高齢者向け住宅の入居費用の平均をご紹介します。
※入居費用とは、家賃・共益費・サービス費(安否確認、生活相談)の合計額
・全国平均:月額10.8万円
・大都市圏:月額12.6万円
・地方圏:月額9.0万円
※出典:国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」
大都市の場合、地方よりも費用が高くなる傾向があります。また、初期費用や月額費用は、入居するタイプ(一般型・介護型)によっても異なります。どのような費用がどれくらいかかるのか、事前によく確認しておきましょう。
■サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ際のポイント
サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ際は、まずは一般型・介護型のどちらのタイプにするのかを決めたいです。また、事業者によってオプションで付けられるサービスが異なるため、自分が希望するサービスを明確にしておきましょう。さらに、施設を選ぶうえで重要なのは費用面です。毎月どれくらいの費用なら利用可能かを確認し、予算を立てることをおすすめします。
自分の希望する条件を決めたら、次は実際の施設をチェックしてみましょう。すでに要介護認定を受けている人は、担当のケアマネージャーに相談すると、施設を教えてもらえます。また、地域包括支援センターや役所の住まいに関する担当窓口に相談してもよいでしょう。
施設を探す際、活用できるのが「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」です。
これは一般社団法人高齢者住宅協会が運営するWebサイトで、都道府県など希望する地域から探すことができます。
サービス付き高齢者向け住宅の情報を収集し、興味のある施設があれば自分の眼で確かめておきたいです。そのようなときは、ぜひ施設見学や体験入居をして、自分に合っている施設かどうかチェックすることをおすすめします。
■まとめ
サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者が安心して生活するためのサービスを提供するバリアフリー完備の賃貸住宅です。自立した高齢者や要介護認定が軽度の人が入居できる一般型と、要介護度が高い人でも入居できる介護型の2つのタイプがあります。サービス付き高齢者向け住宅では、どこでも安否確認と生活相談サービスを受けられ、施設によっては生活支援などオプションサービスを用意しているところもあります。自分はどのようなサービスを希望するかを明確にしたうえで、自分に合った施設を探してみましょう。
<プロフィール>前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)/ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 整理収納アドバイザー1級 / 自分史活用アドバイザー
『安心と心のゆとりのある暮らしができる人を増やしていく』という理念のもと、1人でも多くの人に安心できる暮らしと心の余裕を手に入れていただこうと、家計見直しやライフプランなどの相談業務を行う。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。また、離れて暮らす母の介護に関わった経験を活かし、遠距離介護などの相談も受ける。保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナーとして活動中。
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