笑顔で介護! 特養〜自宅で看取るまで<第5回>介護認定、少しでもポイントアップさせるコツ

笑顔で介護! 特養〜自宅で看取るまで<第5回>介護認定、少しでもポイントアップさせるコツ
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介護カレンダー編集部が見聞きした「介護」にまつわる情報をさまざまな観点からお届けします。

「アルツハイマー型認知症」と診断された母。

スープの冷めちゃう距離(片道1時間半)、子ども3人+犬+仕事、今の私ができることはなに?

いよいよ母の介護認定。介護度が高くなれば充実したサービスを受けられ、サービスの利用の幅が増えるので、家族としてもやれることやる価値はある、私もそう思って対応しました。

申請の前に

介護認定は、地域包括センターや区役所等に申請すると調査員が自宅などにやってきて、審査、その結果によって要介護度が決定するというもの。その結果によってそれぞれに合わせた介護プランが作成されます。

何よりも認定を取ることを本人に納得してもらうことが大変だとは聞いていました。

多くの人は、「自分が認知症って理解できない、思いたくない。まだまだ私、大丈夫!」と思っていますからね。

母も絶対嫌がるだろうなあ、と予知していたので、ここはもう、介護認定とは言わずに、「一人暮らしの高齢者チェック」と嘘をついてみました。

そして、実際に申請、審査してからも思った以上に時間がかかること!

自治体によって違うとは思うけれど、申請してから審査まで1カ月。そしてまた、結果が出るまでに、さらに1カ月……

なので、親を説得する前に、先に申請しちゃうのがおすすめだと思います。

介護認定調査員が来たら

さあ、いよいよ認定当日!

なぜか、母は張り切っているようで、調査員にお茶とお茶菓子で丁寧にもてなしていました(笑)

いやいや必要ないから……と突っ込みたくなりましたが、そこは我慢。

母の好きにさせてあげました。

審査は、生年月日や昨日食べたものなどを口頭でいろいろ聞かれます。

そして、片足で立てるかなど運動能力チェック。

これがまあ、びっくりするほど、好成績!!!

普段できないことやすぐ忘れちゃうことも、なぜか完璧にこなしていく母。

ええ!!

これじゃ介護認定、もらえないじゃない!!! と、焦るわたし。

母に知られずこっそりと(でもここからが本番!)

母と一緒に玄関までお見送りした後……、調査員を追いかけ、訴えました。

私「すみません!!  今日の母、出来過ぎなんですけど。いつもはあんなんじゃないです!」

調査員「わかりますよ〜、そういう方、多いですから。お母様もそうだったんですね」

私「普段はもう、さっきみたいな質問も運動テストも、全然できないんです」

調査員「お母様、被害妄想はありますか?」

私「特にないと思います」

調査員「ご近所とはうまくやっていますか?」

私「『先日、お隣さんが怒鳴り込んで来た』と言っていました。まあ、かなり変わった隣人ではあるのですが……」

調査員「あ〜それが被害妄想ですね〜」

私「え!?」

と、ここで加点1 。

私「初めての場所だと通った道を覚えていなかったり、なぜか家に漂白剤が5本もあったり……」

そして、2カ月後、「要介護1」の認定結果が知らされました。

せいぜい要支援が取れるかなと思っていたので、まさかの要介護認定。

調査員を追いかけて説明した甲斐がありました。(笑)

本当に、遠慮は禁物ですね!

私の友人からも、このような遠慮をしたために、介護認定が降りなかった人、思うような認定が取れなかった人の話を何人も聞いています。

嘘をつく必要はないけど、しっかりと現状を伝えることは大切。また、その行動が認知症によるものと気づかない場合もあります。少しでも怪しい行動は、ぜひ、「こんなことがありました」と伝えてみてださい。

認定調査には必ず付き添おう!

遠距離に住む親の介護認定の際、本人だけで、家族が付き添わないケースがあると、たまに耳にします。

でもこれ絶対だめ!

我が家もそうだったように、審査員の前だとなぜかスラスラできてしまうこともあるから、必ず家族が付き添い、直接、介護認定調査員の顔を見て訴えることが重要です。

使える手はなんでも使え!

認知症が進んでいる、と証明できるようなものは、なんでも用意すべし。

もし、医師からの診断書や手紙などは調査員に見せると加点につながる可能性も。

また、ご近所の証言や普段の失敗談を集めておいて、口頭でも伝えることが大切です。

所詮、人だから?

1回目の認定から1年後、脳内出血後の2回目の介護認定の際の介護認定は、リハビリ専門病院で行いました。

そこにやってきた介護認定調査員は、どうみても70歳を超えている紳士。

調査の前に少しお話ししました。

調査員「リタイア後は、介護関連のボランティアをしているんです」

私「お仕事をリタイアされても、世の中のために頑張っていらっしゃるんですね。素晴らしい」

その会話が功を奏したかはわからないが(笑)、母は「要介護5」。

介護認定調査員もだって所詮は「人」なのかもって、ちょっと思いました。

もちろん母の状況も芳しくなかったけれど、まさか「5」が認定されるとは思っていなかったので、本当にびっくり!

当時、ほとんど単語も出ない、会話も成り立たないけど、私を怒鳴るのは一人前。右手もうまく動かないけど、決して寝たきりでもなく……

引田天功ばりのイリュージョンで、車椅子から脱出経験あり(歩けないのに、固定してあるのに、どうして抜け出せるのか、看護師さんもびっくりしていました)。

ちなみに、1年後の介護認定調査では、「要介護3」になりました。

まとめ

認定される介護度は、もちろん、本来の意味からは低い方が良いに決まっていますが、特別養護老人ホーム(特養)を始めとする国の介護サービスを受けるときは、介護度が高い方が充実したサービスを受けられます。

介護サービスはポイント制。介護度が高い方が、たくさんポイントがもらえる=サービスの利用の幅が増えるので、やれることはやって頑張る価値は大いにあります。



ここに記載されている内容はあくまでも個人の体験であり感想です。

<プロフィール>なかお わかこ
1965年生まれ。 家族は、夫と息子3人、犬2匹。弟。 主婦であり、酵母パンやマクロビ料理主宰、ウェブサイトの運営など。 父 脳内出血後、半植物となり、1年間の病院での療養を経て、69歳で他界(2004年)。 母 軽度のアルツハイマー型認知症発症。脳内出血で病院に入院。特養を経て2021年自宅で看取る 。

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