ドラマ『俺の家の話を見て感じた介護をめぐる親子の葛藤【編集部コラム】

ドラマ『俺の家の話を見て感じた介護をめぐる親子の葛藤【編集部コラム】
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介護カレンダー編集部が見聞きした「介護」にまつわる情報をさまざまな観点からお届けします。

TBS系列で毎週金曜日に長瀬智也さん主演の『俺の家の話』というドラマが放映されているのをご存じでしょうか? 

このドラマは、能楽宗家を飛び出しプロレスラーとなった息子(長瀬智也さん)が、人間国宝である父親(西田敏行さん)が脳梗塞で倒れたことをきっかけに実家に戻るところから始まります。

もちろんフィクションなので、デフォルメされていて、実際の介護とは異なる点もあるかと思いますが、自分の老いに苛立ち不安を感じる父親と、その姿に戸惑う子どもたち、実際の介護、遺産問題に至るまで、介護を巡る親子の葛藤が描かれています。

例えば、第一話にはこんなシーンがありました。

「介護に感情を持ちこなまい方がいいですよ」とヘルパーに諭され、「息子だからできねぇんだよ」と、声を荒げる息子。いくつになっても子どもにとって親は強く元気な存在であってほしいもの。だからこそ、初めて親の弱さに直面した際子どもは驚き戸惑います。

認知症テストで野菜の名前が思い出せない父。これまで普通にできたことができなくなる恐怖。ケアマネージャーが、高圧的な態度で父を「おじいちゃん」扱いする場面では、以前ある老人ホームの施設長が「認知症の人にも尊厳はある」と言っていたのを思い出しました。

介護カレンダーの「介護探しの体験談」をご紹介している中で、“できるところまで家族で介護をして、それでも力が尽きて施設探しをされるご家族が多いこと”を知りました。また、自宅での介護は、きれいごとだけでは済まされないことも知りました。

実は介護カレンダー編集部員である筆者の父親は、10年間老人ホームにお世話になっていました。元気だった父がどんどん弱って小さくなっていく姿を見ることがつらく、父が居る老人ホームに足を向けられない時期や、自分で介護をできない後ろめたさに苛まれた時期もありました。しかし、どんな姿になっても父が私の父であり続けてくれたのは、子どもの頃に注いでくれた愛情があったからこそだと今は思えます。

毎週、そんなことを感じながら、『俺の家の話』を見ています。

高齢者人口、高齢化率(65歳以上の高齢者数のが総人口に占める割合)共に、上昇し続ける現在、誰もが遅かれ早かれ介護に直面する日が来ると思います。

そんな日を少し想像しながらこのドラマを見ると、いつもとはちょっと違う「モノ」が見えてくるかもしれません。

金曜ドラマ『俺の家の話』|TBSテレビ

(介護カレンダー編集部 Y)

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