特別養護老人ホームの経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会が、来年度に控える次の改定で介護報酬を引き上げるよう国に求めている。
今月7日、厚生労働省に要望書を提出した。
今回の新型コロナウイルスの流行により、介護現場が質の高い感染症対策を実践していることが明らかになったと指摘。今後さらに対策を強化していくことの重要性も明確になったとして、基本報酬で十分な評価を行うべきと主張している。
介護報酬の改定は3年に1度。予定通りなら次は来年4月となる。
今年の夏から年末にかけて行われる具体策をめぐる議論に、このコロナ禍が少なからぬ影響を与えることは必至の情勢だ。
ぎりぎりの綱渡りを続ける現場からは悲鳴が上がっており、国は厳しい報酬カットや複雑なルール変更を断行しづらい。このままでは崩壊に向かう、という警鐘は国会でも以前より頻繁に聞かれるようになった。業界団体も働きかけを強めており、今後さらに活発になっていくとみられる。
老施協は今回の要望書で、「感染症対策の充実が急務」などと報酬アップの必要性を強調した。
このほか、4月27日に厚労省へ提出した要望書では、当面の施策として介護職員への特別手当の支給も要請。「職員の体力的・心理的な負担、緊張、不安は限界に達している」と訴えた。また、サービスの“利用控え”や休業などで経営が厳しくなった事業所への支援も求めている。