家では難しい徹底した食事・健康管理が施された施設に入居したから、94歳という長寿を全うできた【介護施設探しの体験談】

家では難しい徹底した食事・健康管理が施された施設に入居したから、94歳という長寿を全うできた【介護施設探しの体験談】
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千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。

おじいさまを施設に入居させたことに少しの罪悪感にさいなまれたことはあったけれど、施設でしっかり介護をしてもらえたおかげで94歳という長寿を全うできたのではないかと、大阪府在住のH.M.さんは話してくれました。

家では難しい徹底した食事・健康管理が施された施設に入居したから94歳という長寿を全うできた

【プロフィール】
<入居者>祖父
<施設種類>特別養護老人ホーム
<入居年齢>80代以上
<介護度>要介護5
<入居期間>2012年10月~2016年04月
<居住地域>大阪府
<話を聞いたかた>孫

入居者との関係

同居していた祖父です。

医療的ケア・疾患、症状など

軽度の糖尿病を患っていたため、食事とおやつは糖尿病用の特別メニューの提供をお願いしました。

入居を決めた時期と理由

当時はまだ父も仕事をしていたので、祖父の介護は嫁である私の母がほぼ一人で担っていた状況でした。祖父は75歳のときに頸椎を骨折して以来約15年間ほぼ寝たきりの状態で、決して若いとはいえない母の肉体的・精神的な負担は、相当なものだったうえに、祖父の認知症が進んで、家での介護は限界に達し、家族で話し合い、施設へ入所してもらうことになりました。

その前から、担当のケアマネジャーさんに入所希望を伝えていましたが、希望者が多くなかなか順番が回ってきませんでした。3年ほど待ちようやく一つベッドが空いたという連絡を受け、その場で入所を決めました。

安堵する気持ちと同時に、どなたかが亡くなられるのを待っていたようで、罪悪感というかなんともいえない複雑な気持ちになったことを覚えています。祖父自身は決して入所を希望していたわけではありませんでしたから、申し訳ない気持ちにもなりました。

施設の探し方

頸椎を骨折して入院していた病院を退院するときに、デイサービスを受けられる施設ということで、現在の施設を紹介してもらいました。それ以来10年以上にわたって、デイサービスと数カ月に一度の一泊利用という形でお世話になっていました。

他にもいくつか紹介可能な施設もあったようですが、最終的には家から車で10分程度と最も通いやすい場所にある施設に決めた、と両親からは聞いています。実際に入所後は週に1~2度面会に訪れていたので、自宅から近い施設を選んでおいて良かったと思います。

入居の手続き、ステップ

頸椎骨折後は約1年入院生活を送り、その病院内である程度のリハビリを行いました。そのおかげで退院時には杖を使って少しだけ歩ける程度にまで回復しました。

しかしリハビリ担当の先生から「自宅に戻ってからは毎日散歩するなどして運動する習慣をつけるように」という指導を受けたにもかかわらず、家ではあまり動かなかくなった祖父は、徐々に寝たきり状態へと移行していきました。そのうちだんだんと認知機能も衰えていき、夜中に自宅内を徘徊するような行動も見受けられました。

入居して良かったこと

入居させて良かったと思う点は、食事管理と健康管理が徹底された環境で生活できたことです。施設では持病の糖尿病にも配慮した栄養バランスのとれた食事が毎食提供されており、自宅では到底同じような食事管理はできなかったと思っています。

また毎朝検温し、少しでも体調を崩したらすぐに常駐の先生が診察してくださいました。症状の軽い内に適切な医療が提供され、自宅で生活していたときより、ずっと健康的な生活が送れたと思います。

入居して大変だったこと

大変だった事は、面会に行くたびに家に帰りたがったことです。祖父は「スタッフの方々にはいつも良くしてもらっている」といった内容のことを話す反面、やはり長年暮らした自宅が恋しかったようで「帰りたい」と連呼していました。

また糖尿病を患っていたため甘いものが制限され、他の入居者のかたがお饅頭やケーキを食べるなか祖父だけは寒天など甘みの少ないお菓子が提供されていたのですが、認知症が進んでいた祖父にはその理由が理解できず、いつも怒っていて、なだめるのに苦労しました。

入居を検討しているかたへのアドバイス

親や祖父母を介護施設に入居させることは、介護を放棄するようで罪悪感にさいなまれることもあるかと思います。しかし、介護する側にも自分の人生があります。今でも祖父に申し訳ないことをしたという気持ちが全くなくなったわけではありませんが、その反面、施設で徹底した食事管理と健康管理が施され、94歳という長寿を全うできたことを良かったと思う気持ちもあります。

あのまま自宅にいたら、私たち家族が施設と同じレベルの介護を提供することは絶対に不可能だったでしょう。確実に祖父の寿命は縮まっていたでしょうし、家族がストレスから祖父にきつく当たるようなこともあったかもしれません。祖父は施設で穏やかな最期を過ごせたと私は思いたいです。

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