老人ホーム見学の基礎知識【老人ホームの選び方 vol8】
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千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。


こんにちは! 千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長の石田です。

今回は老人ホーム探しで一番重要となる「老人ホーム見学のポイント」について解説します。

これまで、「老人ホームの探し方」や「老人ホームの種類」、「老人ホームの費用」など、老人ホームの基本の知識はついたと思います。

老人ホームの選び方

ただ、やはり後悔しない老人ホーム選びのためには見学が必要です。今回は「老人ホーム見学のポイント」をメインにまとめましたので、ぜひお読みください。

1.なぜ見学が必要なのか

少数ではありますが、弊社に相談に来られるかたのなかには、「見学をしないで老人ホームに申し込みしたいのですが……」とおっしゃるかたがいます。 病院の退院期日が迫っている、介護疲れで疲弊しきっているなどお急ぎの場合がほとんどですが、どんなに急いでいても一度は見学をするようお勧めしています。

というのも、老人ホームのパンフレットやホームページの情報と、実際は違うことが非常に多いからです。

基本的に、パンフレットやホームページは老人ホーム側が作っているので、老人ホーム側が有利になるような良い情報がメインになってしまいます。

例えば、「寄り添う介護」「充実なリハビリ体制」「おいしい食事」と書かれていても、残念ながら、実際には「冷たい介護」「リハビリは何もしていない」「まずい食事」という老人ホームも存在しています。

相談者が海外にお住まいですぐに見学に行けないなど、よほど特別な理由でもない限り、老人ホーム側も、見学をしないまま入居を勧めることはまずありません。

入居する前のイメージと入居後の老人ホームでの生活のギャップがなるべく小さい方が、入居者がすぐ退去することも少なくなるので、老人ホーム側も見学してもらいたいのです。

もし、見学せずに安易に申し込みを承諾する老人ホームがあったら、その時点で、その老人ホームは候補から外しても良いくらいです。

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老人ホームの候補がある程度絞れたら、次は必ず見学をしましょう。

2. 見学の予約と時間帯

見学する老人ホームが決まったら必ず予約をしましょう。

■見学の予約

見学に行く際は必ず予約しましょう。予約をせずに飛び込みで見学に行った方が、普段の老人ホームの様子が分かるとおっしゃるかたもいますが、マナーの観点からも必ず予約しましょう。

急な訪問では、担当者が不在だったり、他の方の見学対応などで、十分な見学ができなかったりすることもあります。特に今のコロナ禍ではなおさらです。

また、見学の予約をする際は、ホームページや物件サイト等のメールからではなく、直接ホームに電話することをお勧めします。

老人ホームの見学は、この予約の電話から始まっていると思ってください。数回かけても電話に出ない、折り返しもこない老人ホームは正直論外ですし、電話の対応が悪いホームは入居後の対応も悪いホームが多いです。

■見学の時間帯

よくご相談者の方から質問されることも多いのですが、見学に要する時間は、館内の見学と説明の時間を合わせて、1時間から1時間半くらいが一般的です。

見学のスタート時間は、朝10時くらいから夕方4時くらいの間であれば見学できるホームがほとんどです。見学できる曜日は多くのホームで平日だけでなく土日祝日含め毎日できますが、ホームによっては土日祝日などできない曜日もあります。

どうしても、仕事の都合などで夜遅い時間帯や、土日祝日じゃないと見学できない場合はホームに相談しましょう。

また、見学のお勧めの時間帯としては、昼食やレクリエーションの時間帯です。入居者やスタッフの様子がよく分かります。

特に、昼食の時間帯は食事介助の様子と居室から食堂までの移動介助の様子を見ることができるのでホームの介護力を見るのに最適です。入居者も全員食堂に集まるので、入居したらどのような人たちと一緒にホームで過ごすことになるのかもわかります。

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3. チェックリストはいらない!?

普段、私がご相談者のかたとホームに見学に行くとき、自分で作ったチェックリストや、ネットからダウンロードしたチェックリスト等を持参する方がいらっしゃいます。

10~30項目くらいあるチェックリストが多いのですが、はっきり申し上げて不要なことが多いです。

私のような老人ホームの紹介センターという職業をしている者であれば、見学の際には、職業柄ご相談者に老人ホームの詳細を説明できるようにするために、業務上の詳細なチェックリストを持参していますが、一般の方には不要だと思っています。

そもそも、数十ある項目のチェックをしても、100点満点のホームなんて存在しません。あるとしたら「超」がつくほどの高級ホームくらいです。各ホームには必ず良い点・悪い点があります。

また、項目が多くなればなるほど、ホームの比較をしても結局どのホームが合っているのかわからなくなることが多いです。

以前、“ひとりでも困らない!「老人ホーム希望条件の整理方法」”で、少し述べたように、希望条件に優先順位をつけて、希望条件の優先順位1位から3位、多くても5位くらいまでの項目に絞って見学し、ホームを比較するのが良いでしょう。

次回は、「老人ホーム見学のポイント後編」として、ハード面で必要な6つのチェック項目について解説する予定です。

記事提供:石田治男
千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス 所長
入居相談員 / 老人ホームアドバイザー

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