独身の叔母が転んで大腿骨を骨折。認知症状が見られる叔母は、退院しても一人暮らしは厳しいと判断し、退院までというリミット付きで急遽老人ホーム探しが始まりました。
知り合いに紹介してもらった老人ホームに空きがあるかを確認したところ、早速、ホーム長が叔母を訪ねてきてくれました。その頃、私は叔母の言動にイライラして怒ってばかりいたせいもあってか、優しく接してくれるホーム長に「この人のいるところがいい」と叔母は言いました。早速、車椅子に乗って見学に連れていったところ気に入った様子で、「ここに入りたい」とあっさり入居が決まりました。
入居までのプロセス
1)申し込み
兄である私の父はもう高齢だったため、私が保証人になりました。
→ 風邪による発熱時、軽い転倒時など、昼夜問わず保証人に連絡が来ます。慣れないうちは、保証人になったことを後悔したものです。
2)入居金の用意
まとまった金額が必要だったため、定期預金を解約。車椅子に叔母を乗せて一緒に銀行を周りました。
→ 認知症とはいえ、老人ホームに入居当時は要介護2、一人でいろいろな手続きをするのは難しかったものの、通帳の保管場所や自分の持っているお金について叔母がある程度把握していたことは救いでした。ただ、クレジットカードや携帯電話を解約したり、株を売却したりなど、認知が進むにつれて手続きは大変になりました。
3)持ち込む荷物を用意
足の踏み場のないようなマンションに叔母を連れ帰ることは返って危ないと判断し、当面必要だと思われるもののみを私が老人ホームの居室に持ち込みました。その後、テレビや小型の冷蔵庫など、必要なものを購入しました。
→入居した老人ホームの規則では、現金を持つことができませんでした。希望すれば老人ホームで立て替えてもらうことはできましたが、自分のお金を、自分の好きなときに使えないことにかなりストレスを感じていたようです。
病院を退院した叔母は、その足で老人ホームへ向かいました。ホーム長やスタッフの方が笑顔で迎えてくれ、「あなたはもう帰っていいわ」と送って行った私を振り返ることなく居室へ向かって行きました。しかし、あまり人付き合いも得意ではない、一人で気ままに暮らしてきた叔母にとって、老人ホームでの暮らしは納得のいくものではなかったようです。
私も叔母が入居した当時は、老人ホームと意思の疎通が取れずイライラしたことは数知れません。信頼は長い時間をかけて積み上げていくものなのかもしれません。(ライター奏多映美)
※入居時点の情報であり、あくまでも個人の感想です。