介護サービスの利用者の自己負担がいよいよ来月から一部変更となる。厚生労働省は見直しまで1ヵ月を切ったこのタイミングで、事務処理の取り扱いや留意点などをまとめた通知を全国の自治体へ発出した。
2021年7月5日に公表した介護保険最新情報のVol.997で広く周知している。
来月から変更されるのは、利用者の自己負担の多寡を左右する「高額介護サービス費」と「補足給付」の2つ(*)だ。いずれも目的は同じ。その支払い能力に応じた負担を個々の利用者に求め、制度の持続可能性や公平性を高める狙いがある。
* 高額介護サービス費
ひと月の自己負担があらかじめ決められている上限額を上回った際に、その超過分を払い戻す仕組み。介護の支払いを一定の範囲内に留めて家計を守る制度で、上限額は個々の経済状況に応じて段階的に設定されている。
* 補足給付
介護施設に入所する低所得者の食費、居住費を助成し、その自己負担を軽減する支援措置。市町村民税非課税の人が対象で、こちらも個々の経済状況に応じて段階的に自己負担の上限額が定められている。
高額介護サービス費の見直しは以下の通り。上限額の段階が新たに2つ創設され、課税所得380万円以上(年収約770万円以上)の高所得層の負担が引き上げられる。厚労省は既に、これを分かりやすく説明するリーフレットも出している。
一方、補足給付の見直しは大きく2つ。まずは助成の可否を判断する預貯金額の要件の厳格化だ。現行では一律で単身1000万円以下、夫婦2000万円以下となっているが、来月以降は経済状況に応じて3段階に分けられる。
もう1つは食費(日額)の引き上げ。自己負担の上限額が以下のように改められる。介護施設は年収120万円超のみだが、ショートステイは3区分が対象だ。ただし、生活保護受給者の負担は変わらない。居住費の上限額の変更も一切ない。
厚労省は補足給付の見直しについても、現場の関係者に理解してもらおうと分かりやすいリーフレットを公表している。
今回の通知では、こうした改正の概要を自治体向けに改めて説明。保険者の事務処理の詳細なルール、その留意点を詳しく記載したほか、負担限度額認定申請書などの様式例も改めて提示した。
情報提供元:介護のニュースサイトJoint