「特養にすぐ入れないのはなぜ?」~【介護1年生の編集者が調べてみたVol7~】
介護についてまだまだ知らないことがいっぱいの介護カレンダー編集部員の私。もっともっと「介護」や「高齢者施設」について勉強して、わかりやすい情報をお届けしようと、ただいま、勉強中です。
「特養は費用は安いけれど、なかなか入居できないらしい」。
そういえば、おばあちゃんの入居施設を探している友人がそう話しているのを聞きました。
本当に「特養」に入るのは難しいの? 調べてみることにしました。
■ 「特養」にすぐ入れないのはなぜ?
高齢者の住居にはさまざまな種類がありますが、なかでもかなり安い費用で入居できることから、人気となっているのが「特養」と呼ばれる「特別養護老人ホーム(以下特養)」です。ちなみに、「特養」というのは老人福祉法における呼称で、介護保険においては「介護老人福祉施設」と呼ばれています。
特養は、社会福祉法人などが運営する公共型の福祉施設です。そのため、24時間体制の介護サービスを受けられるにも関わらず、民間の施設などと比べて費用が安く、入居一時金(敷金)などの初期費用も不要となっています。
さらに、在宅復帰を目指す施設と違って終身利用でき、人口の少ない市町村にも1施設は設置されているため、慣れ親しんだ場所で安心して入居できるというメリットもあります。
■ 特養の月額利用料と利用負担限度額
なお、特養で毎月かかる利用料は以下のとおりです。
- 介護サービス費(利用者負担割合に応じて1~3割を負担)
- 介護サービス加算(設備やサービスなどに応じて加算)
- 居住費(室料+光熱費相当)
- 食費(食材費+調理費)
- 日常生活費(レクリエーション費や日用品代など)
なお、1カ月に支払った介護サービス利用料が負担限度額を超えた場合、「高額介護サービス費」により超えた分が払い戻されます。令和3(2021)年8月からは、高所得者世帯の負担限度額が引き上げられましたが、課税所得380万円未満(年収約770万円)の世帯の場合の自己負担額の上限は以前と変わらず、月44,000円となっています。
つまり、毎月44,000円で、住む場所と食事、そして介護サービスが保証されるのですから、特養に人気が集まるというのも納得できます。
■最新調査で待機者数が約30万人と判明
このように特養は入所希望者が多いため、平成21(2009)年度の時点で待機者は約40万人となり、平成23(2011)年度には52万人を超え、「入所するまでには数カ月、ひどいと数年かかる」等、ニュースなどでも取り上げられるようになりました。
しかし、その後、平成27(2015)年4月から特養の新規入所者が要介護3以上の高齢者に限定されたことで、待機者数は減少しました。とはいえ、令和元(2019)年の厚生労働省による特養の入所申込者(調査時点で入所を申し込んでいるものの、入所していない者)の調査で、まだ29.2万人もの人が待機していることも明らかになったのです。
■ 実際の待機者はそんなに多くない!?
ただし、この待機者の人数は、同一人物が複数の施設に申し込んでいる数を含んでいます。また、無事特養に入所できたり、容態が悪化して病院や他の施設に入ったりした人の申込が、そのまま残ってしまっている、というケースもあるそうです。
もちろん、そうした数をカウントしなくても、待機者が多いことは間違いなく、東京や大阪など都市部ではとくにその傾向が顕著となります。ただ、実際に待機している人数はその数字よりも少ないことも確かなようです。
また、定員割れしている地方の特養や、都内であっても場所によっては定員に満たない特養もあり、運良ければ、すぐ入所できることもあるそうです。さらに厚生労働省も、特養の待機者の解消をめざして、超高齢社会となる令和32(2050)年に向けてさまざまな整備を加速するなど、緊急対策を講じています。
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1)24時間体制の介護サービスを受けられるにも関わらず、民間の施設などと比べて費用が安く、入居一時金(敷金)などの初期費用も不要のため人気がある
2)課税所得380万円未満(年収約770万円)の世帯なら、毎月44,000円で、住む場所と食事、そして介護サービスが保証される
3)2019年度の待機者は約30万人
4)運が良ければすぐに入れる特養も
まとめ
費用の安さから人気が高い特養は、多くの人が入所を希望し、待機していることは間違いありません。ただ、調査でカウントされる待機者数と、実際の数には乖離があること、すぐに入れる特養がないわけではないこともわかりました。情報をまめに収集して対象を広げること、そして入所順は緊急度の高さによるので、実情を正しく施設に伝えることが、より早く入所するコツになりそうです。
その日のために私の勉強は続きます。
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