老人ホーム探しの相談先「病院のソーシャルワーカー」「老人ホーム紹介センター」とは?【老人ホームの選び方 vol3】
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千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長、老人ホームアドバイザーである石田治男さんが「老人ホーム」を探す際の考え方や欠かせない知識、実践的なテクニックを教えてくれました。また、家族や親戚などを老人介護施設へ入居させた経験がある方の体験談も紹介します。

こんにちは! 千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス所長の石田です。「老人ホームの選び方Vol2 老人ホームを探そうと思った際に、最初にすること」では、老人ホームを探す最初のステップとして、“自分より詳しいプロにとにもかくにも相談し、一緒に希望条件を整理”し、相談先には地域包括支援センターとケアマネジャーがあることを説明しました。

今回は、相談先として、前回ご紹介した地域包括センター、ケアマネージャーに加えて、病院のソーシャルワーカーと老人ホーム紹介センターについてお話しします。

1.病院のソーシャルワーカー 

病院に入院されている状況の方にお勧めの相談先は「医療ソーシャルワーカー(MSW)」です。

ソーシャルワーカーとは福祉の専門職で、病気になった患者や家族を社会福祉の立場からサポートする人のことを指します。病院によっては『相談員』と呼んでいるところもあります。

入院後、入院する前の状態まで回復できれば良いのですが、そこまで回復できず介護や医療行為が必要になった場合などは、自宅に戻っても生活に困らないよう、ソーシャルワーカーがケアマネジャーや各福祉事業所と連携、調整してくれます。

家族のサポートや介護保険のサービス等を利用しても、自宅に戻ることが困難な場合は、老人ホームだけではなく患者に合った他の紹介や転院の調整を行ってくれます。

老人ホームの相談先としては、他の相談先と比べて豊富な医療知識をもっている点がメリットといえるでしょう。

普段お付き合いのあるソーシャルワーカーさんから、「〇〇の老人ホームは入所した後、患者さんがすぐ病院に戻ってきちゃうんですよね~」、「〇〇の老人ホームは入居者が病院に入院する際に、看護師が付き添ってくれないんですよね……」等、老人ホームの医療対応力がわかる生の情報を聞くこともあります。病院に勤めている方ならではの実際の老人ホームの情報は私も大変参考にしています。

逆にデメリットは、ソーシャルワーカーはケアマネジャーと同じく老人ホームの専門家ではありませんので、あくまで入退院における相談・支援をする専門家であり、病院近隣の老人ホームの情報はある程度知っていても、遠方の老人ホームに関してはあまり詳しくない点です。

また、医療従事者という仕事柄、仕方がないかもしれませんが、ソーシャルワーカーがお勧めする施設は医療対応面重視で、その他のサービス(介護体制、レクリエーションや食事など)の充実度を少し軽視している方が多いと感じます。

老人ホームは、あくまで病院ではなく『生活の場』でありますので、選定基準としては医療対応力と同じくらいその他のサービスも重要になりますから、その点は実際にホームにご自身で問い合わせし、見学に行って判断されると良いと思います。

2. 老人ホーム紹介センター

老人ホーム紹介センターとは一言で言うと『町の不動産屋の老人ホーム版』です。賃貸住宅を探すときに紹介をしてくれる不動産業者がいるように、老人ホームにも紹介業者がいます。

民間が運営していますので営利法人となり、紹介先の老人ホーム側から手数料をもらって経営が成り立っています。ほとんどの業者は相談者側からは相談料や仲介手数料などの費用を一切受け取っていない点が、不動産業者と異なります。

老人ホーム側からもらう手数料で経営が成り立っているので、基本的に紹介の対象となるのは、民間型施設の介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム(※)等の施設に限られます。

公共型施設の特別養護老人ホームや介護老人保健施設・介護医療院・ケアハウスなどは、紹介センターから入居者を紹介しても紹介料が支払われないため、ほぼ100%に近い紹介センターで紹介対象となっていません。

老人ホームの相談先としては、他の相談先と比べると、圧倒的に情報量が豊富な点と、業者によっては見学同行・送迎やアフターフォロー等のサポートがある点がメリットとなります。

先に述べた公共型施設の紹介は行っておりませんが、民間型の施設に関しては相談・紹介を業として毎日行っていますので、他の相談先よりも広範囲の施設情報、各施設の詳細な情報を持っています。

『老人ホームの希望条件を整理する』点においても、相談者からの希望条件の引き出し方も慣れているといって良いでしょう。

デメリットとしましては、中立性が低い点です。老人ホームから紹介センターに支払われる紹介料は一律の金額ではなく開きがあります。紹介センターによっては、自社の利益を追求し過ぎるあまり、自社に入る紹介料が高いホームばかりを勧める悪徳業者もいます。

老人ホームの紹介センターが悪徳業者ではないか見定める方法として、相談内容を親身に聞いてくれるかがポイント、そこでおおよそ判断できます。希望エリアと予算程度しか聞いてこない業者には要注意です。

良い業者か悪徳業者かご自身で判断する自信がない方は、地域包括支援センターやケアマネジャーから信用できる紹介センターを紹介してもらう方法もあります。

3. 相談先を上手に活用して、悔いの残らない老人ホーム探しを

いかがでしたでしょうか。2回に分けて、老人ホームの主な相談先を解説しました。

老人ホームは『良い』『悪い』ではなく、『合う』『合わない』で判断することが大切
老人ホームを探そうと思った際に、最初にすること

相談先によってメリット・デメリットはありますが、一般の方がひとりで探すよりも老人ホームの「希望条件を整理する」最初のステップはもちろん、後々の入居までスムーズになります。

後々『やっぱり相談しておけば良かった……』とならないように、各相談先の専門家を上手に活用していただければと思います。

とはいっても、老人ホーム選びはあくまでも自己責任です。

次回は「老人ホームの希望条件の整理の仕方」について具体的にお話します。

※グループホーム:紹介センターによっては紹介対象として扱ってない会社もあります。

記事提供:石田治男
千葉老人ホーム・介護施設紹介所リーブス 所長
入居相談員 / 老人ホームアドバイザー

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