お父さまの介護をしていたお母さまの入院により、近くに住む家族の介護が始まりました。しかし、日に日に認知症の症状が悪化したことで、介護する側のストレスも限界に達し、施設への入居を決めたとM.K.さんは話します。認知症で家族の顔がわからなくなった今も「時々家に帰りたい」と言う父を見ていると、最後まで自宅で看た方がよかったのではないかと思うこともあるそうです。
認知症の症状が悪化して介護する家族のストレスが限界に。スタッフの手厚い介護で父は穏やかな毎日<特別養護老人ホーム>
【体験者プロフィール】
<入居者>母
<施設種類>特別養護老人ホーム
<居住地域>埼玉県
<入居年齢>80代以上
<介護度>要介護4
<入居期間>2019年~
<話を聞いたかた>長女
※ 体験談は、利用者の入居時点の情報であり、あくまでも個人の感想です。
入居者との関係
父です。
入居を決めた時期と理由
母が入院したのをきっかけに在宅での介護が難しくなり、近所に住む私や兄弟が交代で自宅に行って介護をしていましたが、負担が大きくなってしまったのがきっかけです。
日に日に認知症の症状が悪化していて、暴言や食べ物を投げる、介護中に抵抗をするなどの問題行動が増えて、私や家族のストレスも限界に達していました。
母は退院しましたが、体力的に父の介護をするのは難しく、母や本人のためにも施設へ入居してもらった方がいいと考えたのが理由です。
施設の探し方
市内にあり面会、アクセスがしやすい施設を選びました。兄弟や母も通いやすい場所にあることが条件の一つでした。
自宅で介護を受けているときから、ケアマネのかたには事前にいろいろと将来入る施設のことなどを相談していたこともあり、スムーズに施設選びはできたと思います。
いくつかの施設をピックアップして、ケアマネや知り合いの介護士に評判を聞いたり、パンフレットを取り寄せたりして検討、一番良いところを選びました。
入居の手続き
脳梗塞で倒れたことをきっかけに、アクティブだった父も自宅で過ごすことが増えました。
認知機能がひどく低下していき、血管性認知症と診断されました。
認知症の進行はゆっくりだったために、初めは母が介護をしていました。兄弟も近くに住んでいるので、なんとか家族でサポートできるだろうと考えていたのです。
しかし、母が癌で入院したのをきっかけに、兄弟でサポートすることになり、自宅での介護も難しくなってきたので施設へ入居することになりました。
入居して良かったこと
暴言を吐かれたり、暴力を振るわれたりすると、それが病気のせいであると思っていてもストレスがたまってしまいます。しかし、施設入居後は、私も自分の家族や仕事に集中でき、ストレスで悩むことがなくなりました。
父もプロの介護スタッフから手厚い介護を受けていますし、環境も良いようで、面会に行くとニコニコしていることも多いです。
暴言や暴力などの問題行動も施設に入ってからは落ち着いたようで、父にとっても良かったと思います。
入居して大変だったこと
大変なことは特にありません。
もともと寝たきり状態だったのですが、施設に入ってからは、車椅子で散歩させてもらうなど、いいことばかりです。
認知症が進んでいるので、私が誰なのかわからなくなることも多いのですが、時々過去のことを思い出しては自宅に戻りたいと言うことがあります。そういうときは、最後まで自宅で看た方がよかったのかとふと思ってしまうこともあります。
しかし、やはり施設に入居させたメリットの方が多いと思っています。
入居を検討しているかたへのアドバイス
自宅で介護していて悩みや問題があるかたは、自分だけで抱え込まず、ケアマネや相談できるプロに話を聞いてもらってください。多くの場合、介護施設への入居を勧められると思います。
親のことを思って、無理するかたが多いのですが、介護のストレスは人生自体を辛いものにしてしまいます。いつまで続くのかわからない介護は、プロに任せるのが一番です。
介護施設は、衛生的で明るく過ごしやすい雰囲気ですし、最適なケアが受けられると思います。
<参考>入居時にかかった費用と月々かかる費用
利用者の負担となるのは、食費(最低料金390円/日から最高料金1800円/日。世帯所得・資産によって各段階別の料金)と居住費(最低料金820円/日から最高料金2580円/日。世帯所得・資産によって各段階別の料金。固定資産取得費用、修繕費用見込額、保守料、光熱水費を根拠とし算定)。
※編集部調べ(参照・厚労省 介護サービス情報公表システム)