<FPと考える>もめない親の介護!兄弟姉妹で情報共有
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介護体験や思いなど、さまざまな立場の人の介護にまつわるコラムをお届けします。

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの前佛(ぜんぶつ)です。私は家計改善のアドバイスのほか、整理収納アドバイザー1級を取得し、暮らし全体の整え方もお伝えしています。介護カレンダーでは親の介護をはじめ、将来介護が必要になったときに役に立つ情報をお伝えしながら、介護にまつわる大切なことを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

親に介護が必要になったとき、兄弟姉妹には“もめ事”が起こりがちです。特に、兄弟姉妹の誰かに負担が集中したり、話し合う機会を持ってこなかったりした場合、トラブルが起こりやすくなります。でも介護する親のことを考えると、できるだけトラブルは避けて協力して乗り切っていきたいですよね。そこで今回は、親の介護で起こりがちなもめ事を避けるための方法をご紹介します。

■親の介護は突然やってくる

親の介護は予期せぬ時にやってきます。筆者の母は帰省した時は元気だったのに、その後1カ月もしないうちに歩けなくなり、要介護状態になりました。その前に足をケガしたことはあったのですが、病院で検査をしてもケガが直接の原因ではないようで、結局歩けなくなった本当の原因はわからずじまいでした。その時、介護は予期することができないものだと実感したのです。

親と離れて暮らしていると頻繁に帰省できないため、親の心身状態を確認しにくくなります。また、親も離れて暮らす子どもには心配をかけたくないためか、本当の体調を話してくれないことがあるかもしれません。電話で話した時は元気そうでも、実際は体調があまりよくないこともあります。

離れて暮らす親の心身状態はわかりにくく、日々の変化が見えないため、突然介護が必要になることがあるのです。

■兄弟姉妹に起こりがちな親の介護にまつわるトラブル

子どもが1人だけなら、介護の負担を1人で背負わなければいけませんが、親子間の意思疎通ができていれば問題は発生しにくいものです。けれども兄弟姉妹がいる場合、親が要介護状態になるとトラブルが起きりやすくなります。いったいどのようなトラブルが起こりがちなのでしょうか?

○特定の子どもに負担が集中する

親に介護が必要になると、近くに住む子どもが介護を担うケースが多くなります。遠方に住む子どもは頻繁に帰省できないので、なかなか介護に関わることができません。このように兄弟姉妹の中で特定の人に介護の負担が集中すると不満が生じやすくなり、兄弟姉妹間のトラブルとなることがあるのです。

○兄弟姉妹の介護方針が合わず意見が対立する

介護に対する考え方は人それぞれです。特に介護方針で意見が割れがちなのが、在宅介護にするか、施設介護にするかという点です。筆者は1人暮らしになった父が病気で入院した時、退院後は負担が多くなるから施設介護がいいと考えていました。けれども妹は、自分がときどき実家へ様子を見に行くので在宅介護がいいと意見が割れたのです。結局は在宅介護になったのですが、父は食事習慣が整わず、健康面の問題が出て体調を悪くしてしまったのです。筆者は施設介護にしていれば食事など生活面が整ったのにと、モヤモヤした気持ちが残ってしまいました。

○介護費用の負担で不満が起きる

介護にかかる費用は、親のお金を使えば問題は発生しません。けれども、親のお金が不足したとき、兄弟姉妹の誰かが介護費用の一部を負担する場合もあるでしょう。そんなとき、兄弟姉妹の中で金銭面の援助をしたがらない人がいると、「私だけいつもお金を出している」と不満が生じるかもしれません。また、親のお金は将来的に相続に関わってきます。そのため、金銭面のトラブルは相続時に再燃する可能性があります。

■トラブルを避けるためにやっておきたいこと

親が介護になると兄弟姉妹の間でトラブルが起こりがちですが、皆が連携して情報を共有しながら進めていけば、トラブルは回避できます。ここではトラブルを避けるためにやっておきたいことをご紹介します。

○親に介護の希望を聞いておく

介護で大事なことは、介護を受ける親の希望です。どこで、どのような介護を受けたいと考えているのか(在宅or施設など)、介護にはどのお金を使えばいいのか、親が元気なうちに聞いておくことをお勧めします。その際、親の財産についても話を聞けると安心です。

○親が元気なうちに兄弟姉妹で介護のことを話し合っておく

できれば親が元気なうちに兄弟姉妹が集まって話し合いの場を持つことをお勧めします。その際は親の希望をもとに、介護方針を決めておきたいです。また、自分にできること・できないことを正直に話し、主に誰が介護を担うのかを決め、兄弟姉妹の役割分担をしておきましょう。

○親の心身状態について兄弟姉妹で情報を共有する

お勧めは、家族LINEで皆が参加できる場を作っておくことです。親の心身状態で気がかりなことがあれば、そこに書き込むことで情報を共有できます。また、親が要介護状態になったときは、兄弟姉妹で相談し、役割分担に応じてやるべきことを確認し合うとよいでしょう。何かあったとき、事後報告だと不満に思う人がいるかもしれないので、できるだけ事前に状況を伝え合うようにしておきたいものです。

■まとめ

親が要介護状態になったときは、介護の負担や介護方針の対立、介護費用の負担など、さまざまなトラブルが発生しがちです。そこで兄弟姉妹の間にトラブルが起きないように、親が元気なうちに介護の希望を聞き、兄弟姉妹の役割分担をしておきたいです。そして、いつでも情報を共有できるようにLINEなどを活用して、親に関して気がかりな点を伝え合うようにすることをお勧めします。こうして兄弟姉妹がお互いに協力し合える状態になっていれば、介護が大変でもうまく乗り切れるのではないでしょうか。

<プロフィール>前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)/ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 整理収納アドバイザー1級 / 自分史活用アドバイザー
『安心と心のゆとりのある暮らしができる人を増やしていく』という理念のもと、1人でも多くの人に安心できる暮らしと心の余裕を手に入れていただこうと、家計見直しやライフプランなどの相談業務を行う。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。また、離れて暮らす母の介護に関わった経験を活かし、遠距離介護などの相談も受ける。保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナーとして活動中。
ホームページ:家計コンサルティングZEN

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