こんにちは。ファイナンシャルプランナーの前佛(ぜんぶつ)です。私は家計改善のアドバイスのほか、整理収納アドバイザー1級を取得し、暮らし全体の整え方もお伝えしています。介護カレンダーでは親の介護をはじめ、将来介護が必要になったときに役に立つ情報をお伝えしながら、介護にまつわる大切なことを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
今、核家族化により高齢者だけの世帯が増えています。高齢になると身体機能の衰えで自分ではできなくなることが増えるため、日常生活へのサポートが求められています。
そんななか、高齢者が安心して日常生活を送れるようにと提供されているのが「介護保険外サービス」です。今回は、介護保険外サービスとはどんなサービスなのか、わかりやすくご紹介します。
■介護保険でカバーできない部分を補う介護保険外サービス
公的介護保険では、訪問介護によって要介護認定を受けた人の日常生活を支えるサービスを提供しています。そのサービスには入浴や排泄、食事などの介助を行う身体介助のほか、食事の準備や洗濯、買い物同行、薬の受け取りなど日常生活全般をサポートする生活援助があります。
ただ、公的介護保険の生活援助は単身世帯の人しか利用できないことになっています。それだけでなく、生活援助には利用回数の制限や時間制限もあります。そのため、日常生活をサポートしてほしい高齢の夫婦は生活援助を受けられず、日常生活に支障が出ている人もいるでしょう。また、高齢の単身者も生活援助のサポートだけでは足りない部分があるかもしれません。
そんなとき、公的介護保険ではサポートしきれない部分を補い、世帯状況に関係なく高齢者の日常生活をサポートしてくれるのが「介護保険外サービス」なのです。
介護保険外サービスは、高齢の夫婦や要介護認定を受けていない人でも利用できるので、幅広く高齢者の生活をサポートしてくれるサービスとなっています。
■介護保険外サービスで受けられるサポートは?
介護保険外サービスは、自治体や各種団体、企業など、サービスの提供先はさまざまです。
・市区町村
・社会福祉協議会
・シルバー人材センター
・民間の介護サービス事業者
・民間企業
介護保険外サービスは高齢者なら誰でも自由に利用でき、あらゆる提供先のサービスから自分の受けたいサービスを利用者が自ら選択することができます。日常生活の中で、自分ではできないことを介護保険外サービスで補えば、家族の介護負担も解消できるのではないでしょうか。特に、遠距離介護をしている人が活用するとよいかもしれません。
ではここで、介護保険外サービスの一例をご紹介します。
○東京都世田谷区が提供するサービス
福祉移動サービス、訪問理美容サービス、紙おむつ支給、高齢者寝具乾燥サービス、訪問口腔ケアサービス、救急通報システム、高齢者緊急一時宿泊など。
○世田谷区社会福祉協議会が提供するサービス
ふれあいサービスを提供
・家事支援(掃除、洗濯、食事作り、買い物など)
・生活支援(話し相手、見守り、薬の受け取りなど)
・外出支援(散歩、買い物、通院などの同行)
○シルバー人材センターが提供するサービス
食事の準備、掃除、洗濯、買い物、話し相手、身の回りの整理整頓など。
(サービス内容は提供先により異なります。)
○民間の介護サービス事業者や企業が提供するサービス
配食サービス、訪問理美容サービス、見守りサービス、介護タクシーなどによる送迎サービス、家事代行、付き添いサービス、寝具洗い・乾燥・消毒サービスなど。
(サービス内容は提供する企業などにより異なります。)
■介護保険外サービスの費用負担はどうなっているの?
公的介護保険サービスでは、所得に応じ1割~3割の自己負担割合が設定されています。そのため、実際にかかったサービス費の一部を自己負担するだけで済みます。
しかし、介護保険外サービスは全額自己負担です。実際にかかったサービス費の全額を利用者が負担することになっています。
とはいえ、自治体や社会福祉協議会、シルバー人材センターが提供するサービスは、費用が比較的や安価に設定されています。また、民間企業などが提供するサービスも、利用時間や内容を工夫すれば費用を抑えられるかもしれません。複数の提供先を比較して、家計状況に合ったサポートを選択するとよいでしょう。
■介護保険外サービスの探し方
介護保険外サービスは、役所の介護保険担当窓口、または地域包括支援センターに問い合わせれば教えてもらえます。地域包括支援センターは介護や高齢者の日常生活などの相談窓口になっているので、活用するとよいかもしれません。あるいは、インターネット検索で探すことも可能です。地域の介護事業所に問い合わせてみるのもよいでしょう。
利用する際は、幾つかのサービスを比較して、自分にとって利用しやすいものを選ぶことをお勧めします。
■まとめ
介護保険外サービスは、公的介護保険サービスだけではカバーしきれない日常生活を支援するものです。高齢者なら要介護認定を受けていない人でも自由に利用することができます。ただし、公的介護保険サービスと異なるのは、全額自己負担になる点です。
自分にとって必要なサービスを検討し、家計状況とも照らし合わせながら、上手に活用することをお勧めします。利用したいときは、役所の介護保険担当窓口か地域包括支援センターに相談するか、インターネットで検索してみましょう。
<プロフィール>前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)/ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 整理収納アドバイザー1級 / 自分史活用アドバイザー
『安心と心のゆとりのある暮らしができる人を増やしていく』という理念のもと、1人でも多くの人に安心できる暮らしと心の余裕を手に入れていただこうと、家計見直しやライフプランなどの相談業務を行う。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。また、離れて暮らす母の介護に関わった経験を活かし、遠距離介護などの相談も受ける。保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナーとして活動中。
ホームページ:家計コンサルティングZEN